科目ナンバー
11B2104
科目名
発生再生生物学
担当教員名・資格
加野 浩一郎【教授】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
選択必修
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
履修条件
高校の基礎生物および生物を履修していることを前提として講義するので、以下の項目につて復習してから受講すること。
基礎生物:生物の特徴、遺伝子とそのはたらき、生物:生命現象と物質、遺伝子のはたらき、生殖と発生
授業の概要
近年、失った組織や器官を再生する「再生医療」は、夢の医療として高い関心をもたれている。動物における再生現象は古くから研究されているが、再生のメカニズムについては現在においても解明されてない。本講義では、まずプラナリアやイモリなど著しく高い再生能力をもつ動物を用いた研究で得られた知見について解説する。次いで、著しく限定された哺乳類の再生能力について、肝臓や皮膚の再生と治癒を例に示しながら講述する。さらに、発生・再生生物学領域の研究成果がどのように応用展開されているかについても説明する。
学びのキーワード
細胞系譜、細胞分化、幹細胞、リプログラミング、脱分化と多能性獲得、組織および器官再生
授業の目的
動物における「かたり作りの仕組み」と「失われた組織や器官の再生の仕組み」について理解する。また、動物細胞における運命決定、組織化および器官形成の仕組みについて理解するとともに、組織工学や再生医療への応用展開についても理解することを目的とする。
授業方法
対面授業および動画を用いて講義をする。講義の前半において前回講義した内容を復習することによって、出来る限り講義時間内で内容を理解できるように講義を進める。また、授業内容ごとにClassroomで小テストを実施し、講義内容の理解度を確認しながら、講義を進める。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 動物の発生における細胞系譜と細胞運命決定メカニズムについて理解し、説明することができる。
  • 動物の発生および再生における幹細胞の役割と細胞系譜との関連性について理解し、説明することができる。
  • 発生再生生物学を基盤として応用展開した組織工学や再生医療について理解し、説明することができる。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

発生再生生物学とは?
細胞系譜とその法則性、再生とは何か、発生と再生の関連性、再生と治癒、生理的再生と修復再生について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における発生および再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:発生および再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
2

プラナリア型の再生とイモリ型の再生、幹細胞とは何か。細胞増殖と分化、多能性とは(全能性、万能性、多能性、単能性など)、プラナリアの再生(全能性をもつ幹細胞と再生芽の形成)について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してプラナリア再生と幹細胞について調べてノートにまとめる。
復習:プラナリアの再生と幹細胞にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
3

プラナリアの全能性幹細胞の分子基盤(マウスの胚性幹細胞と何が違うのか?)、位置情報とは、プラナリアは“がん”になるか?、について対面授業および動画で説明する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してプラナリアの再生メカニズムとES細胞について調べてノートにまとめる。
復習:プラナリアの再生メカニズムにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
4

イモリやアホロートルの再生(脱分化と分化転換)、再生芽の形成、過剰肢付加モデルにおける四肢の再生機構について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して有尾両生類の再生メカニズムについて調べてノートにまとめる。
復習:有尾両生類における再生メカニズムにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
5

トカゲの尾は再生するのか?、オタマジャクシとカエルの再生能力の同異点について、進化と再生能力の関連性について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して爬虫類および無尾両生類について調べてノートにまとめる。
復習:爬虫類および無尾両生類の再生メカニズムにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
6

細胞系譜、ガードン卿のオタマジャクシを用いた核移植実験で明らかになったこと、受精卵クローンとは、体細胞クローン(ドリーの誕生、クムリナの誕生)、体細胞クローンのクローンはつくれるのか?、について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してリプログラミングについて調べてノートにまとめる。
復習:動物細胞のリプログラミングかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
7

iPS細胞の樹立、リプログラミングとは、細胞の可塑性とリプログラミングの方法(細胞融合、遺伝子導入、共培養)について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してiPS細胞の樹立について調べてノートにまとめる。
復習:iPS細胞の樹立にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
8

ダイレクトリプログラミングとは(肝細胞、神経細胞、心筋細胞)、リプログラミングとダイレクトリプログラミングのコンセプトの違いと功罪について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してダイレクトリプログラミングについて調べてノートにまとめる。
復習:ダイレクトリプログラミングにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
9

エピゲノムの制御により細胞の働きを調節する仕組みについて説明する。クロマチン構造のダイナミクス(DNA修飾、ヒストン修飾)、ポリコームについて対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用してエピジェネティクスについて調べてノートにまとめる。
復習:エピジェネティクスにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
10

成熟脂肪細胞に由来するDFAT細胞の樹立、DFAT細胞とは何か?、終末分化した細胞の自発的な脱分化と多能性獲得のメカニズムについて対面授業および動画で解説する。
脱分化と多能性獲得を制御する因子の解明についても動画で解説する。

準備学習:インターネットを利用してDFAT細胞について調べてノートにまとめる。
復習:DFAT細胞の特性にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
11

細胞形態と細胞分化(形を変えると働きが変わる)、細胞を取巻く微小環境が細胞の形と働きを決定する、炎症と再生現象(炎症は再生を誘導する引き金なのか?)について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して細胞形態と機能の関連性について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象と炎症にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
12

哺乳類に再生能力はないのか?肝臓は高い再生能力をもつ、アフリカトゲネズミの皮膚再生、哺乳類の再生はプラナリア型なのか、イモリ型なのか?、について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して肝臓の再生について調べてノートにまとめる。
復習:哺乳類の再生にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
13

組織や器官の再生を制御する(骨格筋の再生とその機構)、肝再生の仕組み(肝再生を誘導する因子の探索)について対面授業および動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して骨格筋の再生メカニズムについて調べてノートにまとめる。
復習:骨格筋および肝細胞のメカニズムにかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
14

テッシュエンジニアリング(組織工学)とは何か?、再生における足場の重要性、3次元培養が組織再生に及ぼす影響について対面授業および動画で解説する。
発生工学、幹細胞生物学および発生再生生物学と再生医療の関連性について(再生医学の研究は学際的なものである)動画で解説する。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して発生工学、組織工学、再生医学について調べてノートにまとめる。
復習:発生工学、組織工学、再生医学にかかわる小テストの結果を踏まえ、理解不足の部分について復習する。

240分
15

これまでの講義内容の理解度を確認する目的でclassroomでテストを実施する。テストの内容について対面授業および動画で解説する。

準備学習:1〜14回の講義で実施した小テストの結果と復習した内容を確認し、ノートにまとめてみる。
復習:理解度テストの結果を踏まえて、理解不足であった項目について復習する。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
動物の発生における細胞系譜と細胞運命決定メカニズムについて理解し、説明することができる。
各講義で実施するClassroomによる小テストと学期末に実施するClassroomによる課題によって評価をする。
動物の発生および再生における幹細胞の役割と細胞系譜との関連性について理解し、説明することができる。
各講義で実施するClassroomによる小テストと学期末に実施するClassroomによる課題によって評価をする。
発生再生生物学を基盤として応用展開した組織工学や再生医療について理解し、説明することができる。
各講義で実施するClassroomによる小テストと学期末に実施するClassroomによる課題によって評価をする。
成績評価基準・割合
各講義ごとに実施するClassroomによる小テスト(14回分)(80%)と学期末に実施するClassroomによる課題(20%)で本科目の到達目標が達成されているかについて評価する。60点以上を合格とする。
フィードバックの方法
授業の前半は、前回の授業の概要を説明することによって理解を深める。また、小テストの回答について解説する。
教科書
対面式授業および動画で行なう講義内容にかかわる資料を配布あるいは配信して解説する。
参考書
ギルバート発生生物学 第10版(メディカルサイエンスインターナショナル)、再生医療のための細胞生物学 (再生医療の基礎シリーズ-生医学と工学の接点 2:コロナ社)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/22
  • 終了期間

    2024/01/19
  • 開始時間

    • 16:30
  • 終了時間

    • 18:00
  • 曜日

  • 場所

    Eメールあるいは4号館2階動物生体機構学研究室で随時対応する。

備考

科目の特徴
  • ICTを用いた授業
  • 対面式ではスマートフォン、オンデマンドではMeetおよびClassroomを用いて授業を行う。
備考