科目ナンバー
34D1101
科目名
森林基礎材料学
担当教員名・資格
倉田 洋平【専任講師】
単位数
2
配当年次
1年生
必修・選択
必修
開講学期
後期
学科・クラス指定等
森林学科のみ履修可能
履修条件
担当者の研究室を希望する学生は必修であり、2年次以降の実験および講義の予備的な講義となるので該当者は必ず受講すること。森林学科1年生を対象とした講義であり、特別の理由がない限り他学科の履修を禁止する。
授業の概要
森林は人が活用するうえで欠かせない有用な樹木を生産する。この樹木は、人が利用する場合、木材として加工し利用される。その木材は構造部材や家具用材など我々の生活に欠くことができない。木材を加工・利用する際に、その細胞組織的特徴、力学的性質を理解する必要がある。それらの性質は木材を構成する細胞の種類、配合割合、配列、分布、結合の状態により大きく影響される。そのため、本講義では木材の構成細胞について理解し、さらに、物理的・力学的特性との関連を解説する。また、木材は古くから使われてきた材料であるためいろいろな名称・呼称がある。それらについても幅広く解説する。
学びのキーワード
木質資源、木本植物、伸長成長、肥大成長、形成層、仮道管、樹脂道、道管要素、木部繊維、年輪、早材・晩材、異方性、力学的性質
授業の目的
森林の恵みである樹木を木質材料として利用するには、木材の組織および構造を理解することが必要不可欠である。そのため、以下に示す項目を学習
目標とし、スライド・木材見本などいろいろな物を使い理解を深める。
1、森林の概況と木材資源の生産量を理解する。
2、木材とは何か?巨視的な視点で木を理解する。
3、素材として使用する場合は木材の微細構造について理解する必要があり、詳細を講義する。
4、針葉樹材と広葉樹材の組織学・解剖学的性質を理解する。
5、木材の細胞組織の構造と力学的特性との関係を理解する。
授業方法
スライドなどを使い視覚的に分かりやすい講義を実施する。講義の進捗によっては授業計画に記載した順番が変更になることもあるので留意すること。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 木材の巨視的視野で観察した場合の組織構造を理解し、木材特有の名称(早材、晩材、心材、辺材等)を習得する。
  • 木材の微視的視野で観察した場合、細胞の細胞壁構造の季節性変化、細胞壁の三次元マトリクス構造の理解する。針葉樹と広葉樹での細胞組織構成の
    違いを理解し、それにより材料として利用する場合どのような違い(メリット、デメリット)が生じるか理解する。
  • 木質材料として木材を利用する際、その特徴である異方性を理解して使用できるように教授する。また、いろいろな種類の木材を見分けられるようポイントを紹介する。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

ガイダンス
(1)半期の講義計画および講義の進め方(2)森林基礎材料学の
意義(3)樹木と木材(4)講義の位置づけ(必要性)、今後の学びに
ついて概説する。

概要について説明された内容をノートにまとめる。
講義用にノートを一冊作るのが望ましい。

120分
2

森林資源の概況と木材資源について
(1)森林および木材資源の現況、生産量など

木材資源がどれくらいの量あるのか理解する。日本での木材自給率がどれほどか理解し、それがどのように変遷してきたかを確認する。木材生産量を各国別で理解する。

240分
3

森林資源の概況と木材資源について(2)資源としての木材の
特徴(3)今後の木材資源

産業分野でどのように利用されるのか理解する。建築材料などに使われる木材についてその種類加工方法など解説する。

240分
4

森林資源の概況と木材資源について(4)素材としての木材の文化財的な利用とその価値(5)竹林の問題点

文化財として利用される場合はその樹種を知ることが大切である。壊すことのできな貴重な文化財の樹種をどのように測定するのか。最新の研究を通して紹介する。

240分
5

木材はどのような素材なのか。組織構造を4つの視点でとらえる。その各段階での概要を説明する。

木材を巨視的構造から微視的構造までの4視点でとらえ、各段階での木材の名称を理解・暗唱する。

240分
6

樹木の成長-巨視的-
(1)樹幹の組織区分(2)幹の伸長成長(一次組織の発達)
(3)幹の肥大成長(二次組織の発達)(4)根の成長につい
て説明する。

内容についてノートにまとめる。講義で使用した図表などを書き写すなどして内容の把握に努める。

240分
7

樹木の成長-微視的-
(1)形成層始原細胞(2)形成層始原細胞の接線面分裂(木
部細胞の増加)(3)新生木部細胞の分化・成熟(4)形成層
の円周の増加について説明する。

内容についてノートにまとめる。講義で使用した図表などを書き写すなどして内容の把握に努める。

240分
8

木材の肉眼的構造
(1)樹幹(2)木材の三断面・三方向(3)成長輪、早材と
晩材(4)辺材と心材について説明する。

内容についてノートにまとめる。講義で使用した図表などを書き写すなどして内容の把握に努める。

240分
9

木材の肉眼的構造
(1)木理(2)はだ目(3)もく(4)色(5)光沢につい
て説明する。

内容についてノートにまとめる。講義で使用した図表などを書き写すなどして内容の把握に努める。

240分
10

針葉樹材の構成細胞
(1)針葉樹材の細胞の種類と構成割合(2)仮道管(3)軸
方向柔細胞について説明する。

針葉樹を構成する細胞の種類とその割合を理解する。三断面から見た場合、細胞はどのように見えるか理解する(軸方向)。

240分
11

針葉樹材の構成細胞
(1)放射組織(2)樹脂道とエピセリウム細胞について説明
する。

三断面から見た場合、細胞はどのように見えるか理解する(放射方向)。

240分
12

広葉樹材の構成細胞
(1)広葉樹材の細胞の種類と構成割合(2)道管(3)環孔
材、散孔材などの区分について説明する。

広葉樹を構成する細胞の種類とその割合を理解する。針葉樹よりも進化が進み細胞の役割分担がなされていることを理解する。

240分
13

広葉樹材の構成細胞
(1)仮道管(2)木部繊維(3)軸方向柔細胞(4)放射組
織について説明する。

三断面から見た場合、細胞はどのように見えるか理解する(軸・放射方向)。

240分
14

組織・構造と材質との関連
(1)細胞の種類と構成(2)細胞壁の構造(3)化学成分分
布(4)組織と材質との関連について説明する。

細胞組織で特徴的なものを取り上げ、それが材質にどのような影響があるか予習復習する。

240分
15

これまでの学習内容の確認
覚えておきたい用語などを再解説

これまでの学習内容で特に重要な用語の解説を行い、材料としての木材の魅力を理解させる。

360分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
木材の巨視的視野で観察した場合の組織構造を理解し、木材特有の名称(早材、晩材、心材、辺材等)を習得する。
到達目標に掲げた事項を暗唱できているか記述式の試験で評価
する(割合40%)
木材の微視的視野で観察した場合、細胞の細胞壁構造の季節性変化、細胞壁の三次元マトリクス構造の理解する。針葉樹と広葉樹での細胞組織構成の
違いを理解し、それにより材料として利用する場合どのような違い(メリット、デメリット)が生じるか理解する。
到達目標に掲げた事項を暗唱できているか記述式の試験で評価
する(割合40%)
木質材料として木材を利用する際、その特徴である異方性を理解して使用できるように教授する。また、いろいろな種類の木材を見分けられるようポイントを紹介する。
到達目標に掲げた事項を暗唱できているか記述式の試験で評価
する(割合30%)
成績評価基準・割合
講義内容を理解しているかテストにて理解度をはかる。「到達目標」にかかげた到達目標の事項が達成できれば合格とする(60点以上)。
フィードバックの方法
レポートなどを利用し、理解の定着度合いを把握し、適宜、講義内容のフォローを実施する。
教科書
特に指定なし。
参考書
木材科学講座2 組織と材質 古野 毅ら
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/13
  • 終了期間

    2024/02/28
  • 開始時間

    • 12:00
  • 終了時間

    • 13:00
  • 曜日

  • 場所

    木材工学研究室(10号館5階)へ直接、もしくは教員へメールで連絡して下さい。

備考

木材工学研究室(10号館5階)へ直接、もしくは教員へメールで連絡して下さい。
科目の特徴
備考
講義の内容が前後する場合がある。受講人数により教室が変更することがある。