科目ナンバー
31B1106
科目名
生物の有機化学
担当教員名・資格
袴田 航【教授】 平野 貴子【准教授】 安齋 寛【特任教授】
単位数
2
配当年次
1年生
必修・選択
必修
開講学期
後期
学科・クラス指定等
バイオサイエンス学科のみ履修可能
履修条件
バイオサイエンス学科の学生のみを対象とするが、生命化学科および応用生物科学科の振替科目に指定されている場合は除く。
バイオサイエンス学科の1年次前期に開講される有機化学の単位を取得していることが望まれる。
授業の概要
バイオサイエンスでは、生物の永続的な生存の仕組みを有機化学的側面から理解することが重要になる。そこで、生物を構成する様々な有機化合物(アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオール、カルボン酸とその誘導体、アルデヒドとケトンなど)の性質と反応(求核置換反応、脱離反応など)を初めに述べ、生物の基本構成成分(炭水化物・タンパク質・核酸・脂質・ビタミン)の構造・構成単位・結合様式を詳説する。さらに、これらを活用した生物の協調的かつ連続的な代謝反応(異化代謝、同化代謝、クエン酸回路、アミノ酸代謝など)の詳細とそのメカニズムについても教授する。
学びのキーワード
求核置換反応、脱離反応、アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオール、カルボン酸とその誘導体、アルデヒドとケトン、カルボニル化合物の反応性、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、ビタミン、脂質、核酸、代謝反応、SDGs
授業の目的
生物は有機化合物の性質や反応性の違いを巧みに利用・活用し生命活動を営んでおり、持続可能な社会の構築に見本となるシステムである。本講義では、有機化学の視点からバイオサイエンスおよび持続可能な社会の構築を学ぶ姿勢と知識の修得を目指す。特に以下3点のバイオサイエンスにおける重要性を理解し、生物の論理的な成り立ちへ興味と関心を持てるようにする。(1)生物を構成する様々な有機化合物の性質と反応、(2)生物の基本構成成分(炭水化物・タンパク質・核酸・脂質・ビタミン)の構造・構成単位・結合様式、(3)生物における協調的な連続した代謝反応とそのメカニズム
授業方法
バイオサイエンス学科前期開講科目である「有機化学」の「全クラス統一確認試験」の成績に基づいた習熟度別クラス分けを行う。全てのクラスにおいて、授業内容および進行はシラバスに従う。
教科書の内容を中心に講義を展開する。講義毎に課題(小テストやミニッツペーパー等)を課し理解度を測り学修不足な点を明確にする。講義内容に不明瞭な点が生じぬよう、課題の回答と解説を実施する。また、Google classroomなどのオンラインツールを用いた課題や意見を求める課題もある。分子構造などの三次元的な理解が必要な場合には分子模型で分子を作成させ理解を深める。理解が至らなかった項目は質問として受け付け、クラス全体に解答することにより理解の徹底を図る。最終回(15回目)では、全クラス統一の確認試験を行い総合的な理解度を評価し、これまでの学習内容を総括する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 生物を構成する様々な有機化合物(アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオール、カルボン酸とその誘導体、アルデヒドとケトンなど)の性質と反応(求核置換反応、脱離反応など)に関する記述や化学構造式を理解することができる。
  • 生物の基本構成成分(炭水化物・タンパク質・核酸・脂質・ビタミン)の構造・構成単位・結合様式に関する記述や化学構造式を理解することができる。
  • 生物の協調的かつ連続的な代謝反応(異化代謝、同化代謝、クエン酸回路、アミノ酸代謝など)の詳細とそのメカニズムに関する記述や化学構造式を理解することができ、持続可能な社会の構築へ活用できることを認識する。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

ガイダンス:バイオサイエンスの生物有機化学的理解の必要性と意義
生物に見られる基本有機化学反応:ハロゲン化アルキルの置換反応と脱離反応(1)
1)SN2反応、2)SN1反応、3)SN1反応とSN2の比較、4)分子間反応と分子内反応、5)脱離反応、6)置換反応と脱離反応の競争

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
2

酵素反応機構の理解に必要なカルボン酸とその誘導体の性質
カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応
1)カルボン酸とカルボン酸誘導体の性質、2)カルボン酸とカルボン酸誘導体の反応、3)エステルの性質と反応、4)アミドの性質と反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
3

酵素反応機構の理解に必要なアミンと窒素化合物の性質
アミンや窒素化合物と反応する物質の反応:アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、およびチオールの反応
1)アルコールの性質と反応、2)エーテルおよびエポキシドの性質と反応、3)アミンの性質と反応、4)チオールの性質と反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
4

生体内で重要な官能基と酸・塩基
生体内で酸・塩基となるアルデヒドとケトンの反応・カルボン酸誘導体のその他の反応(1)
1)アルデヒドおよびケトンの性質と反応の比較、2)グリニャール反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
5

生体内で重要な官能基と求電子体・求核体
生体内で求電子体・求核体となるアルデヒドとケトンの反応・カルボン酸誘導体のその他の反応(2)
3)アルデヒドおよびケトンとアミンの反応、4)不飽和アルデヒドおよび不飽和ケトンの反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
6

生体内で重要な官能基と求核置換反応・求核置換反応
生体内で求核反応の主体となるカルボニル化合物のα炭素の反応
1)互変異性とエノラート、2)アルドール反応とクライゼン縮合、3)細胞中でのα炭素の反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
7

生体内で重要な官能基と求電子置換反応・求電子付加反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
8

1回目から7回目までの講義のまとめと内容確認試験およびその解説授業

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
9

光学異性体および生体構成成分①:光学異性体の理解と生物における重要性

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
10

光学異性体および生体構成成分②:糖質と脂質
炭水化物の有機化学
1)炭水化物の分類と表記、2)単糖の環状化、3)グリコシド結合の形成
脂質の有機化学
1)脂肪酸とトリグリセリドの性質と反応、2)リン脂質の性質と反応、3)テルペンの反応と性質

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
11

光学異性体および生体構成成分③:タンパク質と核酸
アミノ酸、ペプチド、およびタンパク質の有機化学
1)アミノ酸の分類と表記、2)ペプチド結合とジスルフィド結合、3)タンパク質の階層構造
核酸の化学
1)ヌクレオチドとヌクレオシド、2)DNAとRNAの性質と細胞内機能、3)タンパク質生合成

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
12

光学異性体および生体構成成分④:その他の重要な生体成分

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
13

タンパク質・糖質・脂質分解酵素の反応機構
代謝の有機化学
1)ATPの役割、2)脂肪の異化代謝、3)炭水化物の異化代謝、4)タンパク質の異化代謝

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。次回講義部分の教科書を通読し不明瞭な点をまとめることを予習とする。

240分
14

生物において重要な酵素反応の有機化学反応機構
酵素触媒反応の機構・ビタミンの有機化学
1)酵素の触媒反応、2)ビタミンの性質と反応

講義内で理解できなかった項目や問題の解き直しを中心に復習を行う。これまでの講義で理解できなかった部分中心に理解を深めることを予習とする。

240分
15

1回目から14回目までの講義のまとめと内容確認試験およびその解説授業

確認試験において十分理解できなかった項目を中心に学び直すことを復習とする。さらに、講義範囲に相当する部分の教科書を改めて通読し理解を深める。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
生物を構成する様々な有機化合物(アルコール、エーテル、エポキシド、アミン、チオール、カルボン酸とその誘導体、アルデヒドとケトンなど)の性質と反応(求核置換反応、脱離反応など)に関する記述や化学構造式を理解することができる。
講義に取り組む姿勢および講義毎の課題等(小テストやミニッツペーパー等)への対応と内容により理解度等を評価する。総合的な理解度は、全クラス統一の確認試験により評価する。
生物の基本構成成分(炭水化物・タンパク質・核酸・脂質・ビタミン)の構造・構成単位・結合様式に関する記述や化学構造式を理解することができる。
講義に取り組む姿勢および講義毎の課題等(小テストやミニッツペーパー等)への対応と内容により理解度等を評価する。総合的な理解度は、全クラス統一の確認試験により評価する。
生物の協調的かつ連続的な代謝反応(異化代謝、同化代謝、クエン酸回路、アミノ酸代謝など)の詳細とそのメカニズムに関する記述や化学構造式を理解することができ、持続可能な社会の構築へ活用できることを認識する。
講義に取り組む姿勢および講義毎の課題等(小テストやミニッツペーパー等)への対応と内容により理解度等を評価する。総合的な理解度は、全クラス統一の確認試験により評価する。
成績評価基準・割合
授業への参加(講義に取り組む姿勢、講義内課題、講義ノートやレポート等(講義担当者により内容は異なる))が40%、学習内容確認試験の結果を60%とする。それらを総合的に評価し、60点以上で合格とする。
フィードバックの方法
講義毎の課題(小テストやミニッツペーパー等)に対して、講義内で回答と解説を行うことでフィードバックとする。学生個々の不明点は質問として受け付け、クラス全体に解答しフィードバックする。全クラス統一の確認試験では、特に正答率の低い問題を中心に試験終了後に解説を行うことでフィードバックとする。
教科書
ブルース有機化学概説(第3版)および HGS 分子構造模型 A型セット 有機化学入門用。共にバイオサイエンス学科1年次前期に開講される有機化学の教科書であり、新たに購入する必要はない。
参考書
マクマリー 生化学反応機構 〜ケミカルバイオロジーによる理解〜 第2版(東京化学同人)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/22
  • 終了期間

    2024/01/19
  • 開始時間

    • 16:20
  • 終了時間

    • 16:50
  • 曜日

  • 場所

    12号館4階 生物化学研究室

備考

講義担当者のオフィスアワー
袴田・平野:講義実施日の16時20分〜16時50分(12号館4階 生物化学研究室)
安齋:講義実施日の16時20分〜16時50分(5号館1階 くらしのバイオ研究室)
*上記の他の日時を希望する場合は予約をしてください。
科目の特徴
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 教員の中には厚生労働省の有機化学部門で医薬品行政および開発に携わった教員が担当するクラスもある。
備考
本科目は履修者を3クラスにわけ、3名の教員で講義する。そのため、講義の順番等が変更となる場合があるが教授内容に違いは生じない。変更となる場合はガイダンスやGoogle Classroom等で連絡する。