科目ナンバー
42D1111
科目名
総合化学(03)
担当教員名・資格
上田 眞吾【教授】
単位数
2
配当年次
1年生
必修・選択
選択
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
履修条件
「基礎化学」を履修していることが望ましい。
授業の概要
炭素の電子配置と共有結合のしくみと、いくつかの基本的反応のメカニズムについて丁寧に解説する。
学びのキーワード
電子の状態、分子の構造、エネルギーの出入り、反応機構
授業の目的
高等学校では学習していない、共有結合のしくみと基本的な反応のしくみについて理解し、有機化学の基礎を修得する
授業方法
講義形式で、パワーポイント・動画・印刷教材を用いて授業する。
課題と理解度チェックにより履修者の理解度を確かめる。
状況によって、オンディマンド方式で実施する場合がある。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 有機化合物が非常に多様であり、それが炭素の特性によることを説明することができる。
  • 原子状態のときと結合状態ときの炭素の電子配置を理解し、共有結合のしくみを説明することができる。
  • アルカンのラジカル置換反応・アルケンの求電子付加反応・アレーンの求電子置換反応のメカニズムを理解し、その概要を説明することができる。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

有機化合物の定義
講義のゴールと進め方を説明する。課題A「有機化合物の元素組成」に取り組む。有機化合物の特徴に基づいて、有機化合物を定義する。
Keywords:エタン、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸、グルコース、グリシン

〔準備学習〕シラバスを読み、この授業で何を学習するのかを確認する。高等学校「化学」の教科書で、これから学習する事項に関連する部分を読む。
〔復習〕有機化合物の特徴を説明できるようにする。課題Aを完成させ、授業中に指示された方法で提出する。

240分
2

原子軌道と電子配置
課題A「有機化合物の元素組成」を返却して講評する。電気陰性度・連鎖性・多重結合をキーワードとして、有機化合物の定義を振り返る。炭素の原子軌道と電子配置について解説する。理解度チェック①を実施する。
Keywords:s軌道、p軌道

〔準備学習〕印刷教材のうち、原子軌道と電子配置に関する部分を読み、概要を把握する。
〔復習〕返却された課題Aを確認する。基底状態における炭素の原子軌道と電子配置を説明できるようにする。

240分
3

混成軌道
理解度チェック①を返却し、必要なら解説を加える。炭素原子の不対電子が2個なのに、どうして原子価が4なのか考える。混成軌道という便法により、結合状態にある炭素の電子の状態を解説する。理解度チェック② を実施する。
Keywords:励起状態、結合状態、混成状態(sp³・sp²・sp)

〔準備学習〕印刷教材のうち、混成軌道に関する部分を読み、概要を把握する。
〔復習〕返却された理解度チェック① を確認する。基底状態・励起状態・混成状態の電子配置を説明できるようにする。

240分
4

共有結合:シグマ結合とパイ結合
理解度チェック②を返却し、必要なら解説を加える。アニメーションを用いて、軌道の混成は現象ではなく、実際に軌道が混ざり合うのではないことを指摘する。二重結合の強さが単結合の2倍より弱い理由を解説する。理解度チェック③ を実施する。課題B「アルカンの融点・沸点」を配布する。
Keywords:σ結合、π結合

〔準備学習〕印刷教材のうちσ結合とπ結合に関する部分を読み、概要を把握する。
〔復習〕返却された理解度チェック② を確認する。課題Bを完成させ、指定された方法で期日までに提出する。

240分
5

炭化水素:命名
理解度チェック③ を返却し、必要なら解説を加える。直鎖アルカンの名称を確認し、それらの性質と利用について解説する。課題B「アルカンの融点・沸点」に基づいて、アルカンの炭素数と融点の関係をまとめる。理解度チェック④ を実施する。
Keywords:ロンドン力

〔準備学習〕混成軌道に関する授業内容を振り返る。炭素数20までのアルカンの名称を覚える。
〔復習〕課題Bで明らかになった炭素数と融点の関係を説明できるようにする。返却された理解度チェック③ を確認する。

240分
6

炭化水素:異性体
理解度チェック④ を返却し、必要なら解説を加える。IUPAC置換命名法について解説する。σ結合の回転で生じる配座異性とポテンシャルエネルギーの関係について、エタン、ブタン、シクロヘキサンを例にして解説する。理解度チェック⑤ を実施する。
Keywords:ニューマン投影式

〔準備学習〕印刷教材のうちIUPAC置換命名法に関する部分を読み、概要を把握する。ポテンシャルエネルギーとは何か調べる。
〔復習〕配座異性の種類と名称、ポテンシャルエネルギーとの対応を、ニューマン投影式を使って説明できるようにする。返却された理解度チェック④を確認する。

240分
7

アルカン:ラジカル置換反応
理解度チェック⑤ を返却し、必要なら解説を加える。クロロメタンの合成を例に、アルカンのラジカル置換反応のメカニズムについて解説する。理解度チェック⑥ を実施する。
Keywords:ホモリシス、クロロラジカル、メチルラジカル、連鎖反応、開始反応、伝搬反応、停止反応

〔準備学習〕破線−くさび形表記とニューマン投影式の関係を復習する。印刷教材のうちメタンのクロロ化に関する部分を読み、わからない箇所をメモする。
〔復習〕アルカンの置換反応のメカニズを、説明できるようにする。返却された理解度チェック⑤ を確認する。

240分
8

アルケンとアルキン:求電子置換反応
理解度チェック⑥ を返却し、必要なら解説を加える。メタンのクロロ化反応のうち伝搬反応における化学種の構造変化とエネルギーの出入りを解説する。理解度チェック⑦ を実施する。
Keywords: ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタン

〔準備学習〕印刷教材で、伝搬反応のときに化学種の構造がどのように変化し、そのときエネルギーがどう出入りするのか調べる。ラジカル連鎖反応に関する学習内容を振り返る。
〔復習〕ラジカル連鎖反応で登場した化学種の構造を図示できるようにする。返却された理解度チェック⑥ を確認する。

240分
9

アルケンとアルキン:ラジカル重合反応
理解度チェック⑦ を返却し、必要なら解説を加える。アルケンとアルキンの名称や性質について解説する。1,2-ジクロロエタンの合成反応を例に、求電子付加反応のメカニズムを解説する。ポリ塩化ビニルの合成反応を例にラジカル重合反応のメカニズムを解説する。理解度チェック⑧ を実施する。
Keywords:ヘテロリシス、イオン反応、アンチ付加

〔準備学習〕
印刷教材の、求電子付加反応とラジカル重合反応に関する部分を読み、わからない箇所をメモする 。
〔復習〕1,2-ジクロロエタンの合成反応のメカニズムと、ポリ塩化ビニルの合成反応のメカニズムを説明できるようにする。返却された理解度チェック⑦ を確認する。

240分
10

共役二重結合系
理解度チェック⑧ を返却し、必要なら解説を加える。二重結合と二重結合の間が単結合一つで結ばれた共役二重結合系の特徴について、フォトンとの相互作用、および電子との相互作用に注目して解説する。理解度チェック⑨ を実施する。
Keywords:3-ブタジエン、β-カロテン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ポリアセチレン、グラファイト

〔準備学習〕
β-カロテン、アスタキサンチン、リコピンの構造式を調べ、書いてみる。これらの物質の類似点と相違点を整理する。
〔復習〕共役二重結合系の特徴を整理し、説明できるようにする。返却された理解度チェック⑧ を確認する。

240分
11

芳香族求電子置換反応(前編)
理解度チェック⑨ を返却し、必要なら解説を加える。ベンゼンは、構造から予想されるより安定であり、二重結合をもつが付加反応を起こしにくい。このようなベンゼンの性質をもたらす理由について解説する。クロロベンゼンの合成反応のメカニズムを解説する。理解度チェック⑩ を実施する。
Keywords:1.5重結合、非局在化、共鳴、クロロニウムイオン、カルボカチオン、プロトン脱離

〔準備学習〕
π電子が非局在化することにより物質がどのような性質を示すのかについて振り返る。印刷教材の、芳香族求電子置換反応のうち、クロロ化に関する部分を読み、わからない箇所をメモする。
〔復習〕ベンゼンのハロゲン化のメカニズムを説明できるようにする。返却された理解度チェック⑨ を確認する。

240分
12

芳香族求電子置換反応(後編)
理解度チェック⑩ を返却し、必要なら解説を加える。クロロベンゼン、トルエン、ニトロベンゼン、ベンゼンスルホン酸の合成反応の比較から、芳香族求電子置換反応の共通性を見いだす。ルイスの酸塩基の視点から反応を眺める。理解度チェック⑪ を実施する。
Keywords:ルイス酸、メチリウムイオン、ニトロニウムイオン、スルホニウムイオン

〔準備学習〕
印刷教材の、芳香族求電子置換反応のメチル化、ニトロ化、スルホン化に関する部分を読み、わからない箇所をメモする。
〔復習〕ブレンステッド・ローリーによる酸塩基の定義と、ルイスによる酸塩基の定義の違いを説明できるようにする。ベンゼンのアルキル化、ニトロ化、スルホン化のメカニズムを説明できるようにする。返却された理解度チェック⑩ を確認する。

240分
13

芳香族求電子置換反応(配向性)
理解度チェック⑪ を返却し、必要なら解説を加える。芳香族求電子置換反応の進行に伴うエネルギーの変化を解説する。一置換ベンゼンに二つ目の置換基を導入するとき、反応が起こる位置に選択性がある理由を解説する。理解度チェック⑫ を実施する。課題C「オクタン価と分子構造」を配布する。
Keywords:求電子剤、アレニウムイオン、オルト・パラ配向性、メタ配向性、電子供与性置換基、電子吸引性置換基

〔準備学習〕
芳香族求電子置換反応について学習した内容を振り返る。印刷教材の「2つ目の置換気を導入する」を読み、わからない箇所をメモする。
〔復習〕配向性が、既存の置換基の性質により決まることを説明できるようにする。返却された理解度チェック⑪ を確認する。課題Cを完成させ、指定された方法で期日までに提出する。

240分
14

オクタン価
理解度チェック⑫ を返却し、必要なら解説を加える。課題C「オクタン価と分子構造」に基づいて、オクタン価と分子構造の関係について考える。
Keywords:オクタン価

〔準備学習〕印刷教材の「化石燃料」を読む。
〔復習〕オクタン価と分子構造の関係を説明できるようにする。返却された理解度チェック⑫ を確認する。

240分
15

振り返り
理解度チェックfinalを実施した後で内容について解説する。学習した内容の全体を駆け足で振り返る。

〔準備学習〕理解度チェックfinalの準備をする。
〔復習〕理解度チェックfinalで不正解だった項目を中心に、15回の講義で学修したの内容を振り返る。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
有機化合物が非常に多様であり、それが炭素の特性によることを説明することができる。
課題A
原子状態のときと結合状態ときの炭素の電子配置を理解し、共有結合のしくみを説明することができる。
理解度チェック
アルカンのラジカル置換反応・アルケンの求電子付加反応・アレーンの求電子置換反応のメカニズムを理解し、その概要を説明することができる。
課題B・課題C
理度チェック
成績評価基準・割合
課題の記載事項が適切であるかどうか(30 %)と、理解度チェックの得点(70 %)により、総合的に評価する。
フィードバックの方法
各種の提出物を採点または添削して返却する。
教科書
テキスト教材をPDFとして配布する。
参考書
初回授業のときに紹介する。
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/19
  • 終了期間

    2024/01/24
  • 開始時間

    • 13:00
  • 終了時間

    • 17:00
  • 曜日

  • 場所

    4号館5階 化学研究室(1)

備考

要予約
メール(ueda.shingo@nihon-u.ac.jp)で事前連絡をもらえれば、オフィスアワー以外でも対応可
科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • ペアワークの実施・理解度チェックの活用
備考