科目ナンバー
32A2101
科目名
分子生物学
担当教員名・資格
相澤 修【准教授】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
必修
開講学期
前期
学科・クラス指定等
動物学科のみ履修可能
履修条件
動物学科1年次開講科目である動物細胞生物学、生化学、動物遺伝学ならびに動物生理学の履修を前提とする。
授業の概要
生体を構成する物質の中でタンパク質は生命活動の維持に重要な役割を果たしており、生体内におけるそれらの構造ならびに機能を知ることは動物学の基礎となる。また、タンパク質の情報は染色体上にある遺伝子にDNAの塩基配列として保存されており、DNAの持つ情報がRNAを経てタンパク質へと翻訳されることで複雑かつ多岐にわたる生命現象が営まれている。本講義では、タンパク質ならびにDNAやRNAなどの生体高分子の高次構造をはじめとして、生体内におけるそれらの機能や遺伝子発現制御機構について理解し、さらにそれらを解析する研究手法について学習する。
学びのキーワード
DNA、RNA、ゲノム、遺伝子、転写、翻訳、タンパク質
授業の目的
生体においてタンパク質は生命活動の維持に重要な役割を果たし、それらの構造と機能は染色体上に保存されている遺伝情報によって複雑かつ巧妙に制御されている。本講義では、タンパク質ならびにDNAやRNAといった核酸分子などの生体を構成する分子の構造と機能を眺めることにより、各種生命現象について分子レベルで理解することを目的とする。また、分子生物学に基づく実験手法の原理を学習することで、動物学科が対象とする様々な生体試料を解析する際に必要な研究方法について修得を目指す。
授業方法
パワーポイント、プロジェクターを用いて講義し、必要に応じて板書や資料の配布を行う。授業内に理解度を問う小テストを実施する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 生体を構成する核酸やタンパク質などの構造や機能を理解し、それらについて正確な専門用語を用いて説明、記述できるようになる。(第2〜12回)
  • 生体試料を解析する際の分子生物学的な実験手法を学習し、課題解決のための適切なアプローチについて選択できるようになる。(第13〜15回)
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

分子生物学への導入を目的として、遺伝物質であるDNAやその分子構造の発見、セントラルドグマの提唱や多様な分野への応用例など、本学問領域に関する研究の歴史について解説する。

準備学習として、高校「生物基礎」で使用した教科書などにおける本講義と関連する箇所を通読することで、DNAやRNA、タンパク質に関して基礎的な知識を確認しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
2

核酸分子を構成する物質であるリン酸、糖、塩基の化学構造について説明する。また、DNAやRNAの化学的性質やその差異について解説する。さらに、核酸分子の方向性や塩基対形成機構、DNA二重らせん構造の形成の原理について解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
3

真核生物に見られるクロマチンや染色体構造の形成機構について説明する。また、クロマチン再構成因子などに関する最新の知見を紹介する。さらに、真核生物のゲノム構造について原核生物のそれと比較しながら説明する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
4

DNA複製機構の原理について解説を行う。DNA複製フォークを形成する分子を説明し、さらに、リーディング鎖、ラギング鎖といった複製フォークにおける非対称性についても解説する。また、DNA合成を担う酵素であるDNAポリメラーゼの特徴について説明する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
5

第2回で学習したRNAの化学的な構造について復習する。真核生物における遺伝子構成や転写開始の分子機構について原核生物と比較しながら解説する。また、RNA合成を担う分子であるRNAポリメラーゼの特徴について解説する。さらに、近年その機能が注目されている小分子RNAに関して最新の知見を交えながら解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
6

真核生物の転写調節機構について解説する。真核生物のmRNA合成に関わる5'キャップ構造の付加、スプライシング反応、ポリアデニル化や成熟mRNAの核外輸送に関する分子機構について解説する。また、多様なタンパク質合成に関与する選択的スプライシングに関して具体的な例を示しながら解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
7

真核生物の遺伝子発現の調節機構について解説する。特に、アクチベーターやリプレッサーなどの転写調節因子の機能について解説する。また、ペプチドホルモンやステロイドホルモンによる遺伝子発現調節について解説する。さらに、miRNAによる遺伝子発現の転写後調節について解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
8

タンパク質翻訳に用いられるコドンや、アミノ酸の化学的な特徴について解説する。タンパク質翻訳のアダプター分子であるtRNAについて説明する。また、タンパク質翻訳の場であるリボソームの分子構造について説明する。真核生物におけるタンパク質翻訳の開始から終結までについて解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
9

前回までの講義内容の理解度を問う小テストを実施し、その解説を行う。
タンパク質の折りたたみに関与する非共有結合について解説する。また、疎水結合によるタンパク質の折りたたみについて解説する。タンパク質の折りたたみを補助する分子シャペロンについて解説する。さらに、タンパク質の折りたたみ異常により生じる疾患についても説明する。

小テストを実施するため、これまでの学習内容(第1回から8回まで)に関して講義ノートを参考に復習しておくこと(60分)。
準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(90分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(90分)。

240分
10

タンパク質の特徴的な折りたたまれ方であるαヘリックスとβシート構造について具体例を示しながら解説する。タンパク質のドメイン構造やサブユニットについて解説する。タンパク質とその他の生体分子との相互作用について酵素タンパク質を例に解説する。

準備学習として、指定した参考書の講義内容に該当する箇所を事前に通読しておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
11

生体内におけるタンパク質合成と分解のバランスについて解説する。生体内における主要なタンパク質分解系であるユビキチン-プロテアソームとオートファジー-リソソームに関して、その分子機構や生理学的意義、疾患との関わりについて最新の科学的知見を示しながら解説する。

準備学習として、講義内容に該当する内容を関連書籍やインターネットなどにより事前に下調べしておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
12

DNAメチル化修飾やヒストンタンパク質翻訳後修飾、non-coding RNAをはじめとしたエピジェネティクス遺伝子発現制御機構に関して、X染色体の不活化など具体例を示しながら解説する。昆虫からマウスやヒトなど、様々な動物におけるエピゲノム変異を介した次世代への獲得形質の伝達について具体例を示しながら解説する。

準備学習として、講義内容に該当する内容を関連書籍やインターネットなどにより事前に下調べしておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理してまとめておくこと(120分)。

240分
13

分子生物学を用いた研究法① 生体試料からの核酸の抽出法、制限酵素、DNAクローニング、PCR法の原理や塩基配列決定法などの核酸分子の解析法について、具体的なデータを示しながら解説する。

準備学習として、講義内容に該当する内容を関連書籍やインターネットなどにより事前に下調べしておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理しまとめておくこと(120分)。

240分
14

分子生物学を用いた研究法② 生体試料からのタンパク質抽出法、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動の原理、ウェスタンブロッティングや免疫組織化学をはじめとしたタンパク質検出法など、タンパク質の解析手法について具体的なデータを示しながら解説する。

準備学習として、講義内容に該当する内容を関連書籍やインターネットなどにより事前に下調べしておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理しまとめておくこと(120分)。

240分
15

分子生物学を用いた研究法③ RNA干渉による遺伝子ノックダウン法やターゲッティングベクターを用いたノックアウトマウスの作製法、TALENやZFN、CRISPR-Cas9などゲノム編集技術を用いた遺伝子機能の解析法について、具体的な科学的知見を示しながら解説する。また、講義全体を振り返り、これまでの学習内容の確認を行う。

準備学習として、講義内容に該当する内容を関連書籍やインターネットなどにより事前に下調べしておくこと(120分)。復習として、講義に使用したスライド内容を講義ノートに整理しまとめておくこと(120分)。講義終了後は、作成した講義ノートを見返して、自身の理解度を確認しておくこと。理解度が低い点に関しては担当教員に対して質問し、内容に関して確実に説明、記述できるようにしておくこと。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
生体を構成する核酸やタンパク質などの構造や機能を理解し、それらについて正確な専門用語を用いて説明、記述できるようになる。(第2〜12回)
授業内に実施する小テスト(20%)と期末試験(80%)により総合的に評価する。
生体試料を解析する際の分子生物学的な実験手法を学習し、課題解決のための適切なアプローチについて選択できるようになる。(第13〜15回)
授業内に実施する小テスト(20%)と期末試験(80%)により総合的に評価する。
成績評価基準・割合
授業内に実施する小テスト(20%)と期末試験(80%)により総合的に評価する。記述問題を中心に各回の授業内容に対する基礎的な設問に関して理解が十分であると判断されれば合格とする。その他、応用的な設問に対する理解度により段階的に評価する。なお、第13回から第15回の授業内容はスケジュールの都合により入れ替わる場合がある。
フィードバックの方法
授業内で実施する小テストならびに期末試験の試験問題に関してLearning Management System等を通して解説する。
教科書
使用しない。
参考書
参考書:Essential細胞生物学 原著第5版(南江堂)、細胞の分子生物学 第6版(ニュートンプレス)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2025/04/17
  • 終了期間

    2025/07/31
  • 開始時間

    • 16:20
  • 終了時間

    • 17:50
  • 曜日

  • 場所

    6号館4階 動物生理分野 相澤研究室

備考

Eメール(aizawa.shu[at]nihon-u.ac.jp)による質問は随時対応する([at]を@にしてください)。
科目の特徴
備考