科目ナンバー
32C3103
科目名
再生生物学
担当教員名・資格
加野 浩一郎【教授】
単位数
2
配当年次
3年生
必修・選択
選択
開講学期
前期
学科・クラス指定等
動物学科のみ履修可能
履修条件
高校の基礎生物および生物を履修していることを前提として講義するので、以下の項目につて復習してから受講すること。基礎生物:生物の特徴、遺伝子とそのはたらき、生物:生命現象と物質、遺伝子のはたらき、生殖と発生
授業の概要
動物における組織再生現象は古くから観察され,機構解明に向けて研究されているが,現在においてもそのメカニズムについては解明されてない。本講義では,プラナリアやイモリなど,顕著に高い再生能力をもつ動物を用いた研究から得られた知見について学ぶ。一方,哺乳類の再生能力については著しく限定されているが,再生特異的組織である肝臓や皮膚を例に挙げ,その再生と治癒について研究例をもとに学ぶ。さらに,発生・再生生物学領域の研究成果がどのように社会に応用展開されているかについても学習する。
学びのキーワード
細胞系譜、細胞分化、幹細胞、リプログラミング、脱分化と多能性獲得、組織および器官再生
授業の目的
近年、失った組織や器官を再生する「再生医療」は、夢の医療として高い関心をもたれている。しかし、動物の再生現象は古くから研究されているが、再生についての基礎理解は現在においても不足していると言わざるを得ない現状がある。本講義では、動物における再生現象を細胞、組織および器官レベルで体系的に理解することを目標とする。また、分子生物学の発展により再生現象のメカニズムが分子レベルで明らかにされつつある。それらの研究成果についても具体例を示しながら解説する。
授業方法
パワーポイントとプロジェクターを用いて講義を進める。講義の前半に前回講義した内容を復習することによって、できる限り講義時間内で内容を理解できるように講義を進める。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 動物の発生における細胞系譜と細胞運命決定メカニズムについて理解し、説明することができる。(第1〜13回)
  • 動物の再生における幹細胞の役割と細胞系譜との関連性について理解し、説明することができる。(第1〜13回)
  • 再生生物学を基盤として応用展開した組織工学や再生医療について理解し、説明することができる。(第14回)
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

発生再生生物学とは?
細胞系譜とその法則性、再生とは何か、発生と再生の関連性、再生と治癒、生理的再生と修復再生について

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
2

プラナリア型の再生とイモリ型の再生、幹細胞とは何か。細胞増殖と分化、多能性とは(全能性、万能性、多能性、単能性など)、プラナリアの再生(全能性をもつ幹細胞と再生芽の形成)

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
3

プラナリアの全能性幹細胞の分子基盤(マウスの胚性幹細胞と何が違うのか?)、位置情報とは、プラナリアは“がん”になるか?

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
4

イモリやアホロートルの再生(脱分化と分化転換)、再生芽の形成、過剰肢付加モデルにおける四肢の再生機構

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
5

トカゲの尾は再生するのか?、オタマジャクシとカエルの再生能力、進化と再生能力

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
6

細胞系譜、ガードン卿のオタマジャクシを用いた核移植実験で明らかになったこと、受精卵クローンとは、体細胞クローン(ドリーの誕生、クムリナの誕生)、体細胞クローンのクローンはつくれるのか?

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
7

iPS細胞の樹立、リプログラミングとは、細胞の可塑性、リプログラミングの方法(細胞融合、遺伝子導入、共培養)

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
8

ダイレクトリプログラミングとは(肝細胞、神経細胞、心筋細胞)、リプログラミングとダイレクトリプログラミングのコンセプトの違いとは

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
9

エピゲノムの制御により細胞の働きを調節する、クロマチン構造のダイナミクス(DNA修飾、ヒストン修飾)、ポリコームとは

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
10

DFAT細胞の樹立、DFAT細胞とは、分化細胞の自発的な脱分化と多能性獲得、脱分化と多能性獲得を制御するものは何か?

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
11

細胞形態と細胞分化(形を変えると働きが変わる)、細胞を取巻く微小環境が細胞の形と働きを決定する、炎症と再生現象(炎症は再生を誘導する引き金なのか?)

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
12

哺乳類に再生能力はないのか?肝臓は高い再生能力をもつ、アフリカトゲネズミの皮膚再生、哺乳類の再生はプラナリア型なのか、イモリ型なのか?

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
13

組織や器官の再生を制御する(骨格筋の再生とその機構)、肝再生の仕組み(肝再生を誘導する因子の探索)

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
14

テッシュエンジニアリング(組織工学)とは何か?、再生における足場の重要性、3次元培養と組織形成、
発生工学、幹細胞生物学および発生再生生物学と再生医療の関連性について(再生医学の研究は学際的なものである)

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわる小テストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
15

これまでの講義内容の理解度の確認を行うために「まとめの課題」を行う。また、テストの解答について、解説を行う。

準備学習:インターネットや書籍等を利用して動物における再生の概要について調べてノートにまとめる。
復習:再生現象にかかわるテストの結果を踏まえて、理解不足の部分について復習する。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
動物の発生における細胞系譜と細胞運命決定メカニズムについて理解し、説明することができる。(第1〜13回)
各講義で実施する小テストで評価をする。
動物の再生における幹細胞の役割と細胞系譜との関連性について理解し、説明することができる。(第1〜13回)
各講義で実施する小テストで評価をする。
再生生物学を基盤として応用展開した組織工学や再生医療について理解し、説明することができる。(第14回)
各講義で実施する小テストで評価をする。
成績評価基準・割合
各授業ごとに実施する小テスト(14回分)において、講義内容を60%以上理解していれば合格とする(80%)。学期末のまとめの課題(20%)で本科目の到達目標が達成されている(60%)かについて評価する。
フィードバックの方法
授業の前半に前回の授業の概要を説明することによって理解を深める。また、小テストの回答について解説する。
教科書
講義内容にかかわる資料を配布あるいは配信して解説する。
参考書
ギルバート発生生物学 第10版(メディカルサイエンスインターナショナル)、再生医療のための細胞生物学 (再生医療の基
礎シリーズ-生医学と工学の接点 2:コロナ社)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2025/04/11
  • 終了期間

    2025/07/25
  • 開始時間

    • 16:30
  • 終了時間

    • 17:30
  • 曜日

  • 場所

    Eメールあるいは4号館2階動物生体機構学研究室にて随時対応する。

備考

kano.kouichirou(at)nihon-u.ac.jp 「(at)は@に置き換えてください」
科目の特徴
  • ICTを用いた授業
  • スマートフォンおよびClassroomを用いて授業を行う。
備考