科目ナンバー
01D2102
科目名
野菜生理機能科学
担当教員名・資格
上吉原 裕亮【准教授】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
選択
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
履修条件
野菜園芸学を履修している前提で講義を行う。また、1年次の必修科目を履修していることが望ましい。
授業の概要
野菜は重要な農作物のひとつであり、ビタミンやミネラルなどの機能性成分の摂取を目的として栽培される副食用の農作物である。特に近年は、食の多様化や健康維持に対する意識の向上に伴い、さまざまな野菜・品種が市場に出回っている。本講義では、野菜類の生長過程における重要な現象や栽培上の生理学的特性について解説し、それらの事象について近年明らかにされてきている分子レベルの知見について述べる。
オンライン対応が必要な場合、Google Classroomを通して授業動画を配信する。
学びのキーワード
種子発芽、休眠、頂芽優勢、バーナリゼーション、花芽形成、結実、果実成熟、ポストハーベスト、代謝産物、機能性成分、分子マーカー、植物ホルモン、遺伝子、酵素
授業の目的
本授業では、野菜類の生態的特性や慣例的な栽培技術を学ぶたけでなく、野菜類に見られる重要な生長現象(種子発芽、休眠、頂芽優勢、バーナリゼーション、花芽形成、結実、果実成熟など)について、分子レベルの知見を修得することを目的とする。また、野菜類の食味や品質を決定する重要な化学成分およびその生合成・代謝経路について学ぶ。当該分野における最新の研究内容にも触れ、遺伝子や酵素がどのようにして野菜の形態形成や生理特性に関わっているかを理解する。
授業方法
資料を配布し、重要な点はスライドを用いて解説する。
オンライン対応が必要な場合、Google Classroomを通して授業動画を配信する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 野菜類の生理・生態学的特性を理解し、栽培方法について科学的な根拠に基づいた説明をすることができる。
  • 野菜類の重要な生長現象について、遺伝子・タンパク質の機能を交えて分子レベルの説明を論理的にすることができる。
  • 野菜類に含まれる多様な化学成分(植物ホルモン、糖類、有機酸、二次代謝産物など)の性質を理解し、それらが野菜の生長に及ぼす影響や品質に及ぼす影響を説明することができる。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

野菜に含まれる成分:栄養価と多機能性:
野菜にはビタミン、ミネラル、抗酸化物質など、健康維持に必須な成分が豊富に含まれている。各成分のヒトの体内における作用機作を述べ、野菜類における各成分含量や合成・代謝経路について解説する。

講義後に学習した内容を見直す

240分
2

温度条件が野菜類の形態形成に及ぼす影響:
野菜類の生長・分化には温度条件が非常に重要である。生育を促すためには生育適温を維持する必要があるが、発芽を促進させたり、花芽分化させるためには低温または高温条件が必要となる場合もある。温度条件による野菜類の形態形成とその分子機構について解説する。

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240分
3

光条件が野菜類の形態形成に及ぼす影響:
野菜類の生長・分化には光条件も関わっている。光条件は光合成だけでなく、発芽や花芽分化にも大きく影響する。光受容に関する研究は進展しており、光条件による野菜類の形態形成とその分子機構について解説する。

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240分
4

野菜類の種子休眠および発芽の生理機構:
野菜類の種子には高い発芽勢と発芽率が求められる。植物としての種子発芽および休眠メカニズムを、植物ホルモンや遺伝子の働きを絡めて述べ、野菜類の種子に見られる特殊性について解説する。

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240分
5

野菜類における分枝メカニズム(頂芽優勢):
野菜類の収量・品質を向上させるためには、植物が持つ頂芽優勢という性質を理解する必要がある。頂芽優勢の分子メカニズムを解説するとともに、野菜類が持つ頂芽優勢の性質とそれに対応した栽培手法について述べる。

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240分
6

野菜栽培における接ぎ木の利用および生理機構:
野菜類の中には耐病性獲得や生育促進を目的とし、育苗段階で接ぎ木するものもある。接ぎ木栽培の現状とメリット・デメリットを解説し、近年の研究により明らかになってきた穂木・台木の親和性決定メカニズムについても述べる。

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240分
7

果菜類における花芽形成の分子メカニズム:
果菜類では、花芽分化を効率的に促進する必要がある。日長や温度など、それぞれの野菜で花芽分化の誘導条件は異なる。花芽分化の誘導条件とその分子メカニズムについて解説する。

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240分
8

果菜類の着花特性および花の雌雄決定メカニズム:
果菜類において果実を効率的に生産するためには、それぞれの野菜の着花特性について理解する必要がある。特にウリ科野菜では、着花特性が栽培法に直結するため、重要な課題である。各野菜の着花特性およびウリ科野菜における花の性分化について述べる。

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240分
9

果菜類における結実および果実の肥大メカニズム:
果菜類では開花後確実に結実させ、果実肥大を促す必要がある。受精から結実に至る過程および果実の肥大メカニズムについて、最新の研究を紹介しながら解説する。

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240分
10

果菜類の果実成熟メカニズム:
トマトやメロンといった重要な果菜類では、果実の成熟とともに様々な生理現象が引き起こされる。これにはエチレンが重要な役割を果たしており、エチレンの作用機作および合成について解説する。

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240分
11

野菜類の品質を左右する糖分・有機酸の代謝・蓄積の分子機構:
野菜類の品質決定には、糖含量・有機酸含量が非常に重要である。それらの代謝産物がどのように合成されるのか解説し、栽培や育種における食味向上のための戦略について述べる。

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240分
12

野菜類に含まれる二次代謝産物・機能性成分の代謝・蓄積の分子機構:
野菜類には多種多様な二次代謝産物・機能性成分が含まれており、ヒトの健康維持に重要なファイトケミカルとして注目されている。それらの代謝経路や含量を増加させるためのバイオテクノロジーについて解説する。

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240分
13

野菜類のポストハーベストテクノロジー:
野菜類は収穫後、調整・輸送・貯蔵といった過程を経て消費者の元に届く。その過程において起こる品質劣化について述べるとともに、それを防ぐためのポストハーベストテクノロジーについて解説する。

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240分
14

野菜類における分子レベルの研究および分子マーカーを利用した品種改良:
近年、野菜類の品種改良には分子マーカーが用いられるようになり、効率的に新品種を育成することが可能となった。分子マーカーやバイオテクノロジーを利用した育種法や、遺伝子組み換えの可能性について解説する。

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240分
15

これまでの学習内容の確認

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240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
野菜類の生理・生態学的特性を理解し、栽培方法について科学的な根拠に基づいた説明をすることができる。
レポート・小テストおよび試験の成績により評価する。
野菜類の重要な生長現象について、遺伝子・タンパク質の機能を交えて分子レベルの説明を論理的にすることができる。
レポート・小テストおよび試験の成績により評価する。
野菜類に含まれる多様な化学成分(植物ホルモン、糖類、有機酸、二次代謝産物など)の性質を理解し、それらが野菜の生長に及ぼす影響や品質に及ぼす影響を説明することができる。
レポート・小テストおよび試験の成績により評価する。
成績評価基準・割合
レポート・小テスト(各10%)および試験の成績(80%)により評価する。
フィードバックの方法
前回の授業内容を復習し、小テストの解説を行う。
教科書
金山喜則編「野菜園芸学」第2版(文永堂)、山木昭平編「園芸生理学」(文永堂)、浅見忠男・柿本辰雄編「新しい植物ホルモンの科学・第3版」(講談社)
参考書
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/01
  • 終了期間

    2024/01/31
  • 開始時間

    • 15:00
  • 終了時間

    • 18:00
  • 曜日

  • 場所

    園芸科学研究室(Google classroomを通して随時)

備考

科目の特徴
  • ICTを用いた授業
  • 勉強の補助資料として、授業スライドをオンラインで配布する。
備考