科目ナンバー
07E2302
科目名
生物機能化学実験
担当教員名・資格
森 司【教授】 井上 菜穂子【准教授】
単位数
1
配当年次
2年生
必修・選択
選択
開講学期
前期前半
学科・クラス指定等
海洋生物資源科学科のみ履修可能
履修条件
座学である生化学,海洋基礎化学の復習により実験の予習を行った後に履修することが望ましい。
授業の概要
生命現象を考える上で実験によりその真理を証明することは重要である。この生物機能化学実験は2年生で行われる最初の化学系の実験であるため,基礎的な化学実験を安全かつ高精度で遂行するために必要とされる知識と技術を習得する。特に,化学分析に重点を置き,実験器具の種類と用途,基本的な実験操作,分析データの取り扱いに関する知識を身につける。
学びのキーワード
アミノ酸、タンパク計測、脂質、DNAやRNAの分離精製、GC-MS
授業の目的
基礎化学や生化学で学んだ多くの事柄を実験を通して身につけるための授業である。そのため、物質を計測する基礎的な手法を身に付け、蛋白や遺伝子、脂質などを様々な手法を用いて抽出し、電気泳動やガラスカラムクロマトグラフィ―、HPLCなどで分離して視覚化する。また、大型機器であるGC-MSの原理を理解して誘導体化アミノ酸の解析を行う。本実験を通じて得られたデータについて積極的に討論し、データのまとめ方やプレゼンテーションの方法についても学ぶ。
海洋生物資源応用コースの学習・教育目標(E)-⑥:海洋生物資源科学関連の実験を計画・遂行し、データを正確に解析・考察・説明できる。その他(H)-②および③に相当する)
授業方法
海洋基礎化学や生化学の基礎的な知識を身につけるための実験であるため、これらをベースに注意事項を講義した後に、実験で重要事項を理解させる。
必要に応じて、Google Classroomを併用する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 分子生物学の初歩的な手法を理解し、説明できる。
  • 生化学の初歩的な手法を理解し、説明できる。
  • 様々な分析手法について、その技術を理解し、説明できる。
授業計画
回数 授業内容
1

ガイダンス:レポートの書き方及び実験上の基本的注意点の説明を受ける。実験で頻用する各種器具の使い方や原理についての講習を受け、理解する。

2

ピペットマンの使用方法及びデーター処理方法:ピペットマンの使用方法やその精度などについて理解を深める。計測値として得られる有効数字の考え方について復習を行う。

3

Lambert-Beerの法則を用いた解析と検量線の意味:吸光度を測定する際に用いる比色法の原理及び、Lambert-Beerの法則を用いたタンパク質濃度測定手法について理解し、実践する。

4

Bradford法によるタンパク質の定量①:大腸菌から最適なバッファーを用いてタンパク質を抽出する工程を学ぶ。この時、バッファーの組成による抽出率の違いを明らかにするため、2種類のバッファーを用意する。

5

Bradford法によるタンパク質の定量②:市販のBradford試薬を用いて抽出したタンパク質の定量について学ぶ。この時、抽出に用いたバッファー組成がBradford試薬に及ぼす影響について考察する。

6

プラスミドDNAの抽出①:抽出に必要な各種試薬(GTE溶液、NaOH溶液、酢酸カリウム溶液)の調整を行う。また、大腸菌を集菌する作業について学ぶ。

7

プラスミドDNAの抽出②:アルカリ法の原理を理解し、大腸菌よりプラスミドを抽出する工程について学ぶ。得られたプラスミドDNAは電気泳動によって確認する。得られた電気泳動結果について考察する。

8

組織からのRNA抽出①:分解されやすいRNAの特徴を理解するとともに、RNA実験における必要な滅菌処理の仕方について学ぶ。さらに、組織を破砕し、RNAを取り出す操作について学ぶ。

9

組織からのRNA抽出②:RNAスピンカラムの原理を理解し、RNAの抽出の操作を学ぶ。得られたRNA溶液は吸光光度計によって計測し、濃度を得る。さらに電気泳動によって、その抽出効率を確認する。

10

ゲルからのDNA抽出:目的遺伝子の抽出方法として用いられるゲルからのDNA抽出方法について、その原理を理解する。市販のスピンカラムを用いて、PCR断片の抽出操作を学ぶ。得られたDNAは定量を行い確認する。

11

ゲルろ過カラムクロマトグラフィー:複雑に混ざり合った生体試料から目的の物質を分離・精製する手法の一つとして、各種クロマトグラフィーの原理について理解し、その中の一つであるオープンカラムクロマトグラフィーの操作を学ぶ。

12

液体クロマトグラフィーによるエストロゲンの分離:高速カラムクロマトグラフィーの原理及び、一般的な逆相カラムの原理を理解する。エストロゲンのうち、エストロン、エストラジオール、エストリオールの分離の操作を学ぶ。得られた結果から理論段数及び分離度を求める。

13

原子吸光分光光度計によるカルシウム濃度の測定:溶液中の元素の計測が可能である原子吸光の原理を理解し、市販の飲料水に含まれるカルシウムの濃度を計測する操作を学ぶ。

14

GC-MSによるアミノ酸の構造解析:ガスクロマトグラフィーによる誘導体化アミノ酸分離の原理及びフラグメントイオンを用いた同定解析についてその原理を理解する。GC-MSの操作方法について学ぶ。

15

データの整理とレポート作製:これまでの実験を振り返り、班ごとのデータの照合を行う。外れ値などについて理解し、実験データを適切にまとめ上げ、レポートを作成する。

到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
分子生物学の初歩的な手法を理解し、説明できる。
DNA, RNAの抽出法を行い、その結果について考察しレポートを提出する。(20%)
生化学の初歩的な手法を理解し、説明できる。
SDS-PAGE等の実験を行い、その結果について考察しレポートを提出する。(20%)
様々な分析手法について、その技術を理解し、説明できる。
原子吸光法などの分析手法を用いて解析し、その結果について考察しレポートを提出する。(20%)
成績評価基準・割合
授業に参加し(40%)、テキストの内容を理解して実験の科学的意味を正しく考察できたレポート提出する(60%)。
フィードバックの方法
レポートや試験によるフィードバックがなされる。
必要に応じてGoogle Classroomを用いて行う。
教科書
参考書:新生化学実験講座-第2巻、核酸、-第18巻-
参考書
オフィスアワー (科目担当責任者)
  • 開始期間

    2023/04/10
  • 終了期間

    2023/07/31
  • 開始時間

    • 12:10
  • 終了時間

    • 12:50
  • 曜日

  • 場所

    10号館3F生物機能化学実験室

備考

水曜日のお昼の時間、及びGoogleクラスルームにて適宜質問をを受ける。
オフィスアワー (成績入力担当者)
  • 開始期間

    2023/04/03
  • 終了期間

    2023/04/28
  • 開始時間

    • 12:00
  • 終了時間

    • 13:00
  • 曜日

  • 場所

    10号館3階生物機能化学研究室

備考

水曜日のお昼の時間、およびGoogle Classroomにて適宜質問を受け付ける。
科目の特徴
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 理化学研究所、自然科学研究機構などで研究員の経験のある教員が、実践的な化学実験においての注意事項などを交えて指導を行う。企業(IHI研究所)に勤務していた経験を持つ教員も実験に参加することから、企業に採用され、そこで活躍できるための技能を身付ける。
備考