科目ナンバー
07A2102
科目名
技術者の倫理入門
担当教員名・資格
上野 康弘【非常勤講師】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
選択
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
海洋生物資源科学科、その他
履修条件
1年次に行われる「倫理学入門」を受講していることは望ましいが,受講していることを必須とはしない。1回の講義中に3回の小テストを行い、講義に対する理解度を測る。テストの解答は、直後にWEBを通じて回収し、一部を紹介して解説する。このため、学生はGoogleclassroomおよびGoogleformに対応しているスマホあるいはタブレット端末を持参すること。

授業の概要
技術者倫理にかかわる基本的な考え方や概念を口頭および視聴覚資料を用いて説明し、その後、倫理的判断の事例の紹介を行う。多くの技術的事例の紹介を通じて、倫理的な行動の必要性とその実行方法について習得する。また、水産業や海洋環境保全に関わる事業の具体的事例を学習し,事業を遂行するに当たってどのような倫理的配慮がなされたかを理解する。1講義中にGoogleclassroomおよびGoogleformを用いて、3回の小テスト(開始テスト・中間テスト・終了テスト)を行い、講義に対する学生の理解度を測るとともに学生の理解を深める。また、講義後に宿題を課することにより講義内容の理解を深める。宿題は提出を求めないが、その内容を講義開始時に小テストで問う。海洋生物資源応用コースの学習・教育目標,「技術者の社会的役割と責任を説明できる。」に対応する。
学びのキーワード
科学者,技術者,モラル,倫理,技術者倫理,公衆,リスク,説明責任,技術士,世代間倫理,注意義務,安全,守秘義務,コミュニティ,環境保護,利益相反,過失,内部告発,倫理規定,功利主義、人間尊重、ユニバーサルデザイン、外国人研修生
授業の目的
学生は、技術者として社会に出て、色々な場面で経済的・経営的判断に加えて倫理的配慮が求められることになる。その時、適切な配慮を行えるように技術者倫理にかかる基本的な知識、技能、態度・習慣を身につける。また,事例を分析することによって,倫理的な行動の必要性とその実行方法の基本について習得する。
授業方法
講義では、あらかじめ指定した座席に着席する。講義では、口頭による説明に加えて、パワーポイントやyoutubeの動画など視聴覚手段を用いる。1回目の講義では、講義の目標・スケジュールや予習、小テスト及び宿題の取り組み方についての説明(オリエンテーション)を行う。2回目以降は、講義時間内に説明した内容に合わせて、理解度を測るため講義中に小テスト(3回)を出して、指定時間内に解答する。小課題の内1題は、前回の講義で指定した予習(宿題)の内容から出すので、予習をして来る必要がある。13回目の講義については、オンデマンドで行い、この講義については講義内での小テストは行わず、宿題としてレポートの提出を課す。このレポートの作成・評価を通じで、基本的なレポートのまとめ方、書き方について指導する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 技術者倫理についての基本的な概念を理解する。
  • 社会に出て業務を行う際に倫理的配慮を行う態度・習慣を身に付ける。
  • 与えられた課題について倫理的な分析・検討を行い、自分の意見をまとめることができるようになる。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

履修についての御オリエンテーリング、人間には基本的倫理感覚があること、反社会性パーソナリティ障害の存在、集団に特有の倫理、技能と技術は異なること、専門職の定義と専門職倫理、予防倫理の重要性、事例を多く学習・検討することの重要性など

予習: フランス・ドゥ・ヴァール: 良識ある行動をとる動物たち
http://digitalcast.jp/v/13332/
を視聴しておくこと
宿題: 日本技術者教育認定機構(JABEE)で定めている認定プログラム修了生の身に付けるべき九つの要求事項

240分
2

技術業における責任: 義務に対する責任(良い仕事)とは何か?、事故の原因を特定する責任、管理者としての責任、責任ある行動を阻む要因

宿題: 集団思考について

240分
3

解決すべき課題における共通モラルとなすべき行動、本質的な部分の抽出の重要性、倫理的な判断を迫られる場合には、①事実上、②概念上、③適用上の問題があること、線引き問題とその応用、創造的第3の方法

宿題: 「功利主義」と「人間尊重の考え方」の定義について

240分
4

倫理面からの判断を行う基本となる考え方に①功利主義、②人間尊重の理念 があること、費用便益分析、行為功利主義、規則功利主義、功利主義の欠点、人権、権利の対立、全体的な利益が優先される場合、生命・財産の維持の重視、普遍性テストと可逆性テスト、自分の頭で考えることの大切さ

宿題: 「AI利用におけるプライバシー」

240分
5

コンピューター技術の進歩に伴う倫理的課題、プライバシーの侵害、開発したプログラムに関する権利、PC・ITの悪用(ウイルス・ハッキング)、ソフトウエアのプログラムのミスの責任の所在

宿題: 「利益相反」について

240分
6

不正直の定義、不正直は何故悪いか?
研究に置かる不正(整形、選別、偽造、剽窃、複数著者)、知的所有権、
依頼人・雇用者と技術者の関係、営業秘密を守る義務、公益通報する義務、利益相反

宿題: 「リスクアセスメント」について

240分
7

技術におけるリスク、安全および責任
、世界貿易センタービル倒壊事故の紹介、リスク管理の実務、リスク評価の困難性 、受け容れ可能なリスクとは?、責任感のある技術者とは?科学技術の有害な影響から公衆を保護する重要性

宿題: 「内部告発」の定義、条件、事例などについて

240分
8

従業員としての技術者、経営者と技術者の対立と考え方・役割の違い、 技術的事項と公衆保護について、技術者の忠誠義務、技術者の不服従(対立・不参加・抗議)、内部告発とその要件

宿題: 持続可能な社会のための環境倫理について

240分
9

技術者と環境、公衆の安全確保、持続的開発、法規の遵守、環境御保護と企業の方針、法制度と危険性の許容基準、環境保護運動と動物解放運動、環境保護に対する技術者の責務

宿題: 異文化コミュニケーションについて

240分
10

国際的な技術業のプロフェッショナリズム、外国で仕事をするときに直面する課題、文化圏超越基準と文化超越基準の適用に当たって考えるべき事柄、賄賂・強要などを避けること、発展途上国における搾取

宿題: 技術者倫理教育の歴史と将来への展開について

240分
11

技術業のプロフェッショナリズムと倫理、業務に関して出された免職処分に対する異議申し立てにおける技術者団体の支援、アメリカの技術者団体の概要、日本の技術者団体の概要、性と少数者への差別を避けること

宿題: 「森川海の水産支援・循環型複合技術システムの展望」について

240分
12

水産業に関する技術者倫理: 技術者倫理に関する水産業の特徴事例: 森川海の水産支援・循環型複合技術システムの展望(赤潮問題に取り組んで)、時空間で視野を広くして課題を分析する重要性

宿題: 技術士の責務との資格の取得について

240分
13

世界各国の技術者資格認定とその歴史、JABEEとは?、日本の技術士制度・その責務との資格の取得について、なぜ技術士を取得するのか?
(オンデマンド講義となります。)

宿題1: JABEE認定の仕組みと目的について
宿題2: 「共有地の悲劇」について

240分
14

水産業に関する技術者倫理: 漁業資源と資源管理に関する技術者倫理、共有地の悲劇について、環境問題、養殖業の倫理的問題(自家汚染、天然種苗確保)、国連の提唱する責任ある漁業のための行動規範の紹介

宿題: 1-14回の講義の総復習

240分
15

全講義の振り返り

宿題:-

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
技術者倫理についての基本的な概念を理解する。
講義内で行う小テストにより理解度を評価する。

社会に出て業務を行う際に倫理的配慮を行う態度・習慣を身に付ける。
講義内で行う小テストにより理解度を評価する。
与えられた課題について倫理的な分析・検討を行い、自分の意見をまとめることができるようになる。
第13回講義の終了後にレポート提出を課し、そのレポートの内容により評価する。
成績評価基準・割合
2回目から12回目、及び14回目の講義については、1講義に3回の小テストを課す。1回の講義についての配点は、7点満点(開始テスト:2点、中間テスト2点、終了テスト3点)とする。13回目の講義については、レポート提出を課し、7点満点とする。15回目の講義は、9点満点(開始テスト:3点、中間テスト3点、終了テスト3点)とする。合計60点以上で合格とする。
フィードバックの方法
テスト講義中に出した小テストは、すぐにGoogle formで採点、集計して、解答の傾向や正解について解説する。
13回講義後のレポートについては、評価結果・コメントを受講者に通知する。
教科書
財団法人日本技術士会訳編「第3版・科学技術者の倫理(その考え方と事例)」(購入しなくともよい)
参考書
「日本水産学会・水産教育推進委員会主催シンポジウム 「水産技術者の業務と技術者倫理」の抄録(https://www.miyagi.kopas.co.jp/JSFS/COM/12-PDF/12-002.html)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/25
  • 終了期間

    2024/01/22
  • 開始時間

    • 10:30
  • 終了時間

    • 11:00
  • 曜日

  • 場所

    講師室等

備考

講師への予定の紹介・質問等は、 fg427238@dk9.so-net.ne.jp およびueno.yasuhiro@nihonu.ac.jpへお願いします。
科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • 事例を検討する宿題を10回以上出す予定。講義中に説明した内容あるいは指定した予習内容に関して、説明直後に小課題を出して解答させ、その一部を紹介して議論する。
  • 情報リテラシー教育を含む授業
  • 講義ではインターネットからの情報を含む活動を行う。
  • ICTを用いた授業
  • 講義に当たってはパワーポイントなどを用いる。
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 地方研究機関8年、地方公共団体行政職1年、国立研究所30年(内、水産資源評価TAC魚種14年)。資源管理の経験を活かして、漁業と資源評価・管理の歴史的経過について、体験を交えて説明している。その中で、「共有地の悲劇」など資源の管理を行う上で研究者・行政官・漁業者がしばしば直面する倫理的課題について触れる。
備考