科目ナンバー
13G2107
科目名
(教)化学概論Ⅰ
担当教員名・資格
志澤 泰彦【准教授】
単位数
2
配当年次
2年生/4年生
必修・選択
必修
開講学期
前期
学科・クラス指定等
学科指定無し
中学校・高等学校〔理科〕の教員免許を取得するために教職課程を履修する学生
履修条件
教職課程履修登録を済ませていること.高等学校・中学校理科教員免許状の取得を目指す意思が強いこと.1年次「基礎化学」を履修していることが望ましい.高等学校の化学教科書や図説を手元におき折に触れ読んで復習する.教科書の演習問題を復習するとよい.授業内では物理学の基礎知識も必要となるので,高等学校の「物理基礎」「物理」の教科書は参考書にするとよい.
授業の概要
生物資源科学部1年次において,「基礎化学」等の入門的な科目を履修・修得した学生に合わせた内容とする.高等学校・中学校において理科教員として授業をするには,日常的に教材研究を実践することが求められる.その際,高等学校・中学校の教科書に記述された化学の内容だけを理解していたのでは,教授する側としては知識が不足し,十分な力量をもった教員として授業を実践することは難しい.高等学校「化学基礎」「化学」の教科書にある学習項目のうち,特に物理化学分野を取り上げ,その理論的背景を詳しく解説する.履修学生は,授業後の復習が強く求められる.
学びのキーワード
中学校・高等学校理科(化学)の確認,「知識の詰め込み」から「よく考える」への転換,化学的事物・事象に対する見方・考え方の形成,基礎的な物理学
授業の目的
高等学校および中学校の理科教育に必要となる基礎的なセントラルサイエンスとしての化学の見方・考え方を理解する.自らの理科教育力向上に寄与する理解力と応用力を身に付ける.
授業方法
指定した教科書の物理化学分野の内容を厳選し,授業を行う.授業では,原則としてパワーポイントを用いた講義形式である.状況によって板書をするのでノートをとりながら学習する.内容によっては,理解を助けるために映像・動画による解説も適宜行う.可能な限り演習問題を解いて,履修学生の理解を助け定着を図る.
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 〔知識・態度〕(DP1)
    高等学校(中学校)において学ぶ化学領域(特に物理化学の領域)について俯瞰的に捉えることができる.
    物質量(mol)がなぜ有用なのかを説明することができる.
    mol計算ができる.
    原子の電子軌道について,量子論の見方・考え方で理解する.
    気体分子運動論と理想気体の状態方程式の関係を理解する.
    化学反応速度と活性化エネルギーについて理解する.
    化学平衡の法則を理解する.
    熱力学の初歩の概念としてエンタルピーとエントロピーについて定性的に理解する.


  • 〔技能〕(DP3,4)
    実験を通して対象を理解する自然科学の見方・考え方を持つ。
    実験の実験結果を論理的に説明し表現できる.
  • 〔関心・態度〕(DP2,3,6)
    化学的現象に関心・疑問をもち,原子・分子レベルで論理的に説明できる.
    相手への伝わりやすさを考え,説明を構築し,文章で表現することができる.
    理科4科目を個別に捉えるのでは,互いの関係について意識して,理科という教科を捉えることができる.
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

<ガイダンス>
教職課程としての「化学概論 I」の授業について 授業の進め方,内容,成績評価等について概説する.授業前の段階での学生諸君の教職に関する意識・基礎知識調査アンケートを実施する.

次回に実施する基礎テストに関する内容について簡単に復習しておく.

200分
2

<化学に関する基礎知識を問う> 
中学校,高等学校おいて学習してきた化学の基礎的な内容について正しい知識が身に付いているかを確認する.

実施したテストの内容について、参考書等を自ら調べ、確認しておく.

200分
3

<確認テストの振り返り>
第2回で確認した事項において,特に学生諸君が苦手意識を示す分野について,意識的に学んでいく姿勢を確認する.

前回の復習においても、なお疑問や理解できない点について、まとめてノートに記しておく.

250分
4

<原子と分子に関する基礎>
教科書の内容を基盤として,化学に関する知識や考え方をもう一段階深化させる.ドルトンの原子説,アボガドロの分子説など原子の存在を人類はどのように想定していったのかを知る.

教科書p.1~p.6を事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
5

<原子量・分子量・式量と物質量(mol)>
高等学校で学習した内容の再確認と計算問題演習

教科書p.6~p.8を事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
6

<元素の周期表と電子配置>
元素の周期表を味わう.周期表に隠された元素の性質の不思議さを感じてみる.

教科書p.8~p.9を事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
7

<原子の構造>
水素原子を例にとり,ボーアが考案した原子のモデルの理論的背景を解説する.

教科書p.11~p.16を事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
8

<ボーアのモデルから量子力学の世界へ>
アインシュタイン光量子仮説 ド・ブロイの物質波 量子論の入り口の物理学を学ぶ.

前回の授業終了時に配布した資料に目を通しておくこと.配布したプリントとノートを振り返り復習すること.

250分
9

<量子論の基礎>
ハイゼンベルグの不確定性原理,シュレーディンガー方程式の基礎から原子がもつ電子軌道とはどのように理解されるものかを学ぶ.

前回授業終了時に配布した資料に目を通しておくこと.配布したプリントとノートを振り返り復習すること.

250分
10

<電子軌道の総括>
共有結合の成り立ち,混成軌道について 分子の構造と性質について総合的に理解する.

教科書p.30~p.33を事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
11

<物質三態>
主に理想気体の分子運動論について物理学的視点から捉える.

教科書p.46~p.53について事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
12

<化学反応速度>
化学反応における活性化エネルギーとは何か?どのように定義されているのか?

教科書p.71~p.76について事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
13

<化学変化とエネルギー>
化学変化に方向性についてエネルギーとエントロピーの概念から考える.

教科書p.77~p.79について事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
14

<化学平衡>
化学平衡と化学平衡に法則,ル・シャトリエの原理について学ぶ.計算演習を実施する.

教科書p.81~p.85について事前に予習しておくこと.授業内で指定した練習問題について授業の復習と関連させて解くこと.

250分
15

「化学概論Ⅰ」での学習の総括としての授業内試験(60分)とその解説(30分)

授業内で指定した練習問題を中心に試験勉強に取り組むこと.授業中の解説にて疑問や理解できない点は、後日オフィスアワー等を利用して質問すること.

200分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
〔知識・態度〕(DP1)
高等学校(中学校)において学ぶ化学領域(特に物理化学の領域)について俯瞰的に捉えることができる.
物質量(mol)がなぜ有用なのかを説明することができる.
mol計算ができる.
原子の電子軌道について,量子論の見方・考え方で理解する.
気体分子運動論と理想気体の状態方程式の関係を理解する.
化学反応速度と活性化エネルギーについて理解する.
化学平衡の法則を理解する.
熱力学の初歩の概念としてエンタルピーとエントロピーについて定性的に理解する.


第1回から第3回までの内容に関する試験問題を授業内試験に出題し問う.
〔技能〕(DP3,4)
実験を通して対象を理解する自然科学の見方・考え方を持つ。
実験の実験結果を論理的に説明し表現できる.
授業内で概説する実験に関して、そこから得られる化学的な法則性に関しての説明を平易にすることができるかを記述式試験問題にて問う.
〔関心・態度〕(DP2,3,6)
化学的現象に関心・疑問をもち,原子・分子レベルで論理的に説明できる.
相手への伝わりやすさを考え,説明を構築し,文章で表現することができる.
理科4科目を個別に捉えるのでは,互いの関係について意識して,理科という教科を捉えることができる.
授業内で概説した物理化学領域の計算問題を満遍なく出題し,理解度を確認する.
成績評価基準・割合
授業内試験(100%)による評価  中学校・高等学校の内容の復習と物理化学の分野から満遍なく出題する.ただし,本授業の授業内試験は,授業の中で扱った内容を出題し,履修学生がその分野を復習したことを確かめるものとする.したがって,授業で扱った問題について十分な時間をとって演習・復習することで,対応することが可能である.計算問題,記述式説明問題等を出題し,化学の理論について広く理解し,高等学校・中学校の生徒に対して化学分野の基礎的事項を分かりやすく説明する能力があるかを問う.授業内試験で60%の得点を取れば評価「C」を与える.試験(第13回から第15回の授業内容はスケジュールの都合により入れ替わる場合がある。)
フィードバックの方法
授業内課題については,Google Classroomを通じてフィードバックを行う.
授業内試験については,試験後に解説を行う.
教科書
教科書:一般化学(四訂版) 長島弘三・富田功著 裳華房(定価2,300円+税)
参考書
参考書:高等学校において使用していた化学に関する「図説」「図録」(出版社は問わない)
高等学校学習指導要領解説(平成30年告示)理科編・理数編(定価529円+税)
高等学校「物理基礎」「化学基礎」「物理」「化学」の教科書
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/04/15
  • 終了期間

    2023/07/29
  • 開始時間

    • 12:20
  • 終了時間

    • 12:50
  • 曜日

  • 場所

    4号館5階 諸課程(化学)研究室 または 学習支援センター

備考

質問等については,オフィスアワー以外にも適宜時間を調整し応じる.
Google Classroomからの質問も適宜,受け付ける.
学習支援センターの利用を勧める.
科目の特徴
  • ICTを用いた授業
  • Google Classroom,Google フォームを用いて,授業資料の配信や授業内課題を課す.
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 担当教員は,高等学校理科の専任教員の経験を活かし,高大の接続を意識した授業を行う.
備考
1年次開講科目「基礎化学」(志澤担当)を基盤にした授業内容となっている.
基礎力に不安がある場合には,学習支援センター主催の「リメディアル物理」「リメディアル化学」の履修も勧める。