科目ナンバー
02D2102
科目名
生物有機化学
担当教員名・資格
袴田 航【教授】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
必修
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
履修条件
高等学校の化学および生物を理解できていることを前提に授業を行う。1年次開講科目の有機化学・生物化学I、2年次開講科目の生物化学IIで扱う知識を必要とする。
授業の概要
生命は有機化合物の有する反応性・キラリティーなどの性質を巧みに活用し生きている。生物有機化学は、人類が生命を理解するための1つの学問分野として、生物や生命現象を有機化学的側面から理解することを目指している。本講義では、生命や生命現象を理解するために不可欠である様々な生物分子の構造やキラリティー・生体成分の代謝反応・代謝の反応機構を中心に生物有機化学の基礎を習得する。厚生労働省の有機化学部門で主任研究官として医薬品行政・開発に携わった教員が、ライフサイエンスにおける生物有機化学の役割について指導する。
学びのキーワード
酸と塩基、キラリティー、糖質、タンパク質、脂質、核酸、およびそれらに関する生体内における有機化学反応機構(求核反応・求電子反応・脱離反応・酸化還元反応など)、SDGs
授業の目的
有機化学的視点からライフサイエンスおよび持続可能な社会の構築を学ぶ知識・姿勢を習得する。そのため、以下に述べる2点のライフサイエンスにおける生物有機化学の重要性・連関性を理解し、生命の論理的な成り立ちへの興味・関心をもてるようにする。(1)生命の基本構成成分である糖質・タンパク質・核酸・脂質の構造を、その構成単位・結合様式およびこれらの有するキラリティー・プロキラリティーを理解する。(2)生命が多くの連続した化学反応で成り立つことを理解するために、生命の生存に必要な共通の酵素反応とその反応機構を理解し、生体成分の代謝機構をタンパク質・糖質・脂質を例として、それらが関与する反応および反応機構を修得する。
授業方法
15回の講義を講義内容に従い3つに分割し、その1つ1つの学修内容について確認試験とその回答・解説を行う。また、Google classroomなどのオンラインツールを用いた課の対応や意見を求める講義もある。教科書・参考書および電子的な教材を中心に講述する。重要事項や誤って理解をし易い項目については、特に詳しく講義する。また、オンデマンド資料では不向きな難解な分子・反応機構等については、スマートフォンのアプリや他の動画を引用しながら解説を加え理解をはかる。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 有機化学的視点からライフサイエンスを学ぶ知識を身につけるために、生物有機化学の基礎概念「生命の基本構成成分である糖質・タンパク質・核酸・脂質の構造を、その構成単位・結合様式およびこれらの有するキラリティー・プロキラリティー」を理解し、言語および化学構造式をもって説明することができる。
  • 有機化学的視点からライフサイエンスを学ぶ知識を身につけるために、生物有機化学の基礎概念「生命が多くの連続した化学反応で成り立つことを理解するために、生命の生存に必要な共通の酵素反応とその反応機構を理解し、生体成分の代謝機構を糖質・脂質・タンパク質を例として、それらが関与する反応および反応機構」を理解し、言語および化学構造式をもって説明することができる。
  • 生物有機化学の基礎を学修し、自然・生命・環境に関する多面的な側面の1つであることを理解し述べることができる。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

本講義のガイダンス
ライフサイエンスを学ぶうえで、生物有機化学が必要となる意味・生物有機化学を学習する意味を講義する。さらに、本講義がSustainable Development Goals(持続可能な開発目標、SDGs)を理解・達成するために必要な学問の1つであることを講義する。また、今後の講義の進め方について説明する。

復習として、講義方法の確認・教科書の準備・参考書の購入および目次の一読を行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
2

カルボン酸とその誘導体
有機化合物におけるカルボン酸とその誘導体について詳しく講義し、酸の強弱の由来についても講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
3

アミンと窒素化合物
有機化合物におけるアミンと窒素化合物について詳しく講義し、塩基の強弱の由来についても講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
4

生体内で重要な官能基と酸・塩基・求電子体・求核体
生命にとって重要な官能基とそれらが作り出す「酸・塩基」および「求電子体・求核体」の概念について講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
5

生体内で重要な酸・塩基と求電子体・求核体
生命にとって重要な官能基とそれらが作り出す「求電子体・求核体」および「求電子付加反応・求核置換反応」の概念について、酸と塩基の関係を踏まえ講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
6

2回目から5回目までの講義の確認試験およびそのまとめ講義をおこなう。

復習として、確認試験において理解できなかった問題およびその関連する問題の解き直しを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
7

光学異性体および生体構成成分の有機化学(1)
生命にとって重要な光学異性体の概念について講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
8

光学異性体および生体構成成分の有機化学(2)
生命にとって重要な糖質・脂質について講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
9

光学異性体および生体構成成分の有機化学(3)
生命にとって重要なタンパク質・核酸について講義する。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
10

7回目から9回目までの講義の確認試験およびそのまとめ講義をおこなう。

復習として、確認試験において理解できなかった問題およびその関連する問題の解き直しを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
11

三大栄養素の異化代謝(1)
三大栄養素の一つである脂質の代謝について、それらに関連するそれぞれの酵素反応について電子移動を中心に解説し、その有機化学的合理性について講義を行う。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
12

三大栄養素の異化代謝(2)
三大栄養素の一つである糖質の代謝について、それらに関連するそれぞれの酵素反応について電子移動を中心に解説し、その有機化学的合理性について講義を行う。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
13

三大栄養素の異化代謝(3)
三大栄養素の一つであるタンパク質の代謝について、それらに関連するそれぞれの酵素反応について電子移動を中心に解説し、その有機化学的合理性について講義を行う。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
14

生体内の多様な酵素反応
生体内で行われる多様な酵素反応を例示・解説し、それぞれの酵素反応について電子移動を中心に解説し、その有機化学的合理性について講義を行う。

復習として、講義において理解できなかった内容のまとめを行う。次回講義の予習として、教科書の事前に指定した章の通読と指定された課題をノートに記述する。

240分
15

全講義のまとめおよび確認試験をおこなう。さらに、学修内容を総復習し学修の体系化を行う。

復習として、確認試験において理解できなかった問題およびその関連する問題の解き直しを行う。

240分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
有機化学的視点からライフサイエンスを学ぶ知識を身につけるために、生物有機化学の基礎概念「生命の基本構成成分である糖質・タンパク質・核酸・脂質の構造を、その構成単位・結合様式およびこれらの有するキラリティー・プロキラリティー」を理解し、言語および化学構造式をもって説明することができる。
2回目〜10回目の講義の実施において実施する講義内課題(ミニッツ・ペーパーの要素を含むGoogle Form 等を活用)および学習内容確認試験(2回)によって理解度等を評価する。
有機化学的視点からライフサイエンスを学ぶ知識を身につけるために、生物有機化学の基礎概念「生命が多くの連続した化学反応で成り立つことを理解するために、生命の生存に必要な共通の酵素反応とその反応機構を理解し、生体成分の代謝機構を糖質・脂質・タンパク質を例として、それらが関与する反応および反応機構」を理解し、言語および化学構造式をもって説明することができる。
11回目〜14回目の講義の実施において実施する講義内課題(ミニッツ・ペーパーの要素を含むGoogle Form 等を活用)・学習内容確認試験(1回)によって理解度等を評価する。
生物有機化学の基礎を学修し、自然・生命・環境に関する多面的な側面の1つであることを理解し述べることができる。
講義内容の重要な区切りごとに実施される確認試験および講義内課題において、生物有機化学の自然科学における位置づけとそれが自然・生命・環境に関する多面的な側面の1つであること理解しているかを評価する。
成績評価基準・割合
授業への参加・貢献度(10%)および3回の学習内容確認(90%)によって総合的に評価し、60点以上で合格とする。
フィードバックの方法
各講義内で予習の内容を振り返る。振り返った内容および講義の内容について講義内で講義内課題(ミニッツ・ペーパーの要素を含むGoogle Form 等を活用)を実施し理解度を確認する。さらに、提出された講義課題について、理解が進まなかった点について指摘と講義を行う。
教科書
教科書:2-3回目は「演習でクリア フレッシュマン有機化学(1年次に購入済)」を用いる。4回目以降に教科書は使用しないが、以下の参考書に準拠して講義をすすめる。
参考書:マクマリー 生化学反応機構 〜ケミカルバイオロジーによる理解〜 第2版(東京化学同人)
参考書
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/19
  • 終了期間

    2024/01/23
  • 開始時間

    • 12:20
  • 終了時間

    • 12:50
  • 曜日

  • 場所

    12号館4階 生物有機化学研究室

備考

オフィスアワー以外で面談を希望する場合は予約を取るようにしてください。予約なしに訪問しても構いませんが、不在のときもあります。
科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • 上述の通り
  • ICTを用いた授業
  • 上述の通り
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 厚生労働省の有機化学部門で主任研究官として医薬品行政・開発に携わった教員が、ライフサイエンスにおける生物有機化学の役割について指導する。
備考