科目ナンバー
02F3301
科目名
食品化学実験
担当教員名・資格
熊谷 日登美【特任教授】 山口 勇将【准教授】
単位数
2
配当年次
3年生
必修・選択
必修
開講学期
前期後半
学科・クラス指定等
生命化学科のみ履修可能
履修条件
食品化学実験のテキストを読み,実験内容の予習をしていること,および,食品化学,食品保蔵学を履修し,その内容を理解していることが望ましい。
授業の概要
食品化学実験では,食品中の成分分析および食品の加工・保蔵に関与する性質の測定を行う。食品の原料および加工品を用い,一般成分として,水分,タンパク質,糖質,脂質,灰分の分析を行う。特殊成分として茶に含まれるグルタミン酸およびカフェインの分析を行う。さらに,微量成分として,カルシウムとビタミンCの測定を行う。加工・保蔵に関与する性質としては,褐変反応,抗酸化性,水分活性,ゲル化特性を取り上げ,実習を行う。本実験実習では,食品中の栄養成分の分析や,食品保蔵に関する測定を行うことから,持続可能な開発目標(SDGs)にも繋がっている。
学びのキーワード
食品化学,食品保蔵,食品加工,一般分析,タンパク質・糖質・ミネラル・ビタミンC定量,抗酸化性測定,色素の分離,水分活性測定,NMR定量,SDGs(栄養状態の改善・健康的な生活を確保)
授業の目的
多成分不均質系である食品に含まれる各種成分の分析ができ,食品化学における分析技術の特徴と試料の取り扱いについて理解することにより,地域社会,日本および世界における食糧・生命・環境をめぐる人間活動のうち、食品を通じた健康維持に関わる問題に対処できるようにする。
授業方法
講義動画において,実験の原理や手順,実際の実験の様子を紹介する。実験結果や考察、および次の回の実験目的や原理、方法などをノートにまとめ、講義動画視聴の前に提出する。実験内容ごとに小テストを行い理解度を測る。最終回にはまとめ試験を行う。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 食品化学分野における分析手法の原理や特徴を理解する。
  • 食品化学分野における分析技術を身につける。
  • 実験データの取扱い方や効果的な伝え方を身につける。
授業計画
回数 授業内容
1

実験講義:食品成分表の見方,表示内容の解説を行う。次に,食品の一般分析の概要と食品の加工・保蔵に関与する性質の測定の概要について説明する。

2

試料調製:試料を予備乾燥後,粉砕し,試料容器に保存する。
水分の定量(105℃常圧乾燥法):試料を105℃で乾燥したときの重量減少から,水分含量を求める。

3

糖質の分解(ベルトラン法):試料を塩酸中で加熱し,非還元糖を還元糖に加水分解する。分解試料中の還元糖量をベルトラン法により定量する。

4

脂質の定量:試料を低極性有機溶媒で抽出し,抽出物を乾固させたものの重量を測定する。
灰化(直接灰化法):試料を550℃で加熱し、試料中の有機物を除去する。

5

カルシウムの定量(過マンガン酸容量法):灰から希塩酸でカルシウムを抽出し、過マンガン酸容量法により定量する。

6

タンパク質の定量(コンウェイ法):試料を濃硫酸中で加熱し,タンパク質を硫酸アンモニウムに分解する。分解試料から強アルカリによりアンモニアを遊離させ,これを規定硫酸で受け,残存硫酸を規定アルカリで滴定する。

7

ビタミンCの定量(ペルオキシダーゼ法):野菜,果物からビタミンCを抽出し,ペルオキシダーゼにより,アスコルビン酸をデヒドロアスコルビン酸に酸化した際の吸光度変化から,ビタミンC量を求める。

8

抗酸化性測定:ジュースやお茶のDPPHフリーラジカルの補足消去活性を測定することにより,抗酸化力を調べ,既知濃度のアルコルビン酸の抗酸化力と比較する。

9

茶に含まれる特殊成分の分析:NMRを用いて緑茶に含まれるグルタミン酸およびカフェインの定量を行う。この定量により,抽出温度による成分含量の違いを明らかにする.

10

水分活性測定:デシケータ内に種々の飽和塩と試料を入れ,平衡化させる。種々の飽和塩存在下での試料重量変化から,試料の水分活性を測定する。

11

非酵素的褐変反応の比較:種々の糖、および、糖とアミノ酸を加熱し、アミノ酸の有無や糖の種類の違いによる褐変反応の程度を比較する。

12

色素分離:ペーパーおよびカラムクロマトグラフィーにより食品に使われる色素成分を分離する。

13

香気成分の分析:ガスクロマトグラフを使って食品中に含まれる香気成分の混合物から各香気成分を同定・定量する。

14

まとめ試験:まとめ試験により実験の理解度を確認する。

15

まとめ講義

到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
食品化学分野における分析手法の原理や特徴を理解する。
実験の理解度を小テストおよびまとめ試験により評価する。
食品化学分野における分析技術を身につける。
実験への参加・貢献度により評価する。
実験データの取扱い方や効果的な伝え方を身につける。
毎週のノート提出により評価する。
成績評価基準・割合
毎週の小テスト(30%),ノート提出(30%),およびまとめ試験(30%)および実験への参加・貢献度(10%)で総合的に評価する。食品成分含量,食品の特性や保存・加工過程成分変化の分析手法の原理や特徴,実験データの取扱い方について理解できていれば合格(60点)。
フィードバックの方法
毎回ノート提出を課し、まとめ方や考察について助言を行う。
毎週小テストを行い、理解不十分な箇所を把握し、復習に役立てられるようにする。理解不十分な点はまとめ講義にて解説する。
まとめ試験の後、試験内容について解説する。
教科書
健康を考えた食品学実験、渡辺達夫・森光康次郎編、アイ・ケイコーポレーション 
参考書
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/05/24
  • 終了期間

    2023/08/02
  • 開始時間

    • 12:15
  • 終了時間

    • 12:45
  • 曜日

  • 場所

    食品化学研究室

備考

科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • 1班当たり4〜5人編成とした班単位の実験で,教員やTAとの双方向のコミュニケーションを取りながら進める。
  • ICTを用いた授業
  • 実験レポートをまとめる際に、先人達の研究内容を文献検索等によって調査し参考資料とする。
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 国立研究開発法人,独立行政法人,公益財団法人,省庁等の 研究評価に関する実務経験のある教員が、食品の分析と研究との関わりについて解説する。
備考
Google Classroom のコメント機能を利用し常時質問などが可能。