科目ナンバー
02F3302
科目名
栄養生理化学実験
担当教員名・資格
関 泰一郎【教授】 細野 崇【准教授】 増澤 依【助教】
単位数
2
配当年次
3年生
必修・選択
必修
開講学期
後期前半
学科・クラス指定等
生命化学科のみ履修可能
履修条件
動物生理学、動物細胞科学、栄養化学に関する基礎知識が必要。
授業の概要
栄養化学、栄養生化学、動物生理学、動物細胞科学に関連した知識を基盤として、栄養生理化学に関連する実験・研究手法をマスターする。①脂質に関する実験では、動物や植物の組織、食品から粗脂質を抽出してメチルエステル化し、ガスクロマトグラフィーを用いて脂肪酸組成を分析する。②腎臓生理に関する実験では、尿中のクレアチニンを定量し、各自の糸球体ろ過率(クレアチニンクリアランス)を算出して腎機能を評価する。また、食事タンパク質の代謝、アミノ酸の窒素の体外への排出の形態と腎機能について理解を深める。③血液・血漿タンパク質の機能に関する実験では、血液の凝固と線溶現象を in vitro で観察し、血液と生体の恒常性について学修する。④動物細胞の培養実験では、血球細胞や肝細胞を例として細胞培養の方法について学修し、複雑な生命現象を組織や細胞レベルで解析、考察するための基礎的な技術について学修する。⑤免疫学的測定法に関する実験では、臓器、血液、培養細胞から回収した試料について、ELISA(Enzyme-linked Immunosorvent Assay)やウエスタンブロッティングによる特定のタンパク質の特異的な検出と定量方法をマスターする。⑥上記の実験全体を通して、データの取り扱い、ノートの記載方法、実験結果のまとめ方、プレゼンテーションや討論の方法についても学ぶ。海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務のある教員が、その経験に基づき実験手法や理論について指導する。
学びのキーワード
栄養素、ガスクロマトグラフィー、脂肪酸分析、腎臓生理、ヤッフェ法、血液生理、生体試料の取り扱い、フィブリンプレート法、アフィニティークロマトグラフィー、動物細胞の培養、ウエスタンブロッティング、ELISA,ImageJ,プレゼンテーション
授業の目的
栄養生理化学の分野で必要とされる基礎的な実験・研究手法について、以下に記述する①~⑦の実験ができるようになることを目的とする。①脂質に関する実験では、動物・植物組織、食品からの粗脂質の抽出方法、メチルエステル化、ガスクロマトグラフィーによる解析、クロマトグラムの解析、脂肪酸組成比の算出、データベースを用いた各種食品などの脂肪酸組成の比較ができる。②腎臓生理に関する実験では、ヤッフェ法を用いて尿中のクレアチニンを定量し、腎臓での尿の生成速度、血漿中のクレアチニン濃度、体表面積から各自の糸球体ろ過率(クレアチニンクリアランス)を算出して腎機能を評価することができる。③血液タンパク質に関する実験では、血漿中のフィブリノーゲンを定量すること、アフィニティークロマトグラフィーを用いてウシ血漿からプラスミノーゲンを精製すること、フィブリノーゲンとトロンビン、カルシウムイオンを用いてモデル血栓(フィブリンプレート)を作成すること、このモデル血栓を用いて血栓線溶酵素(プラスミン)の活性を観察、測定することができる。④動物細胞の培養実験では、培地の特性と調製法が説明でき、クリーンベンチでの無菌操作と細胞培養、分析試料の回収・調製ができる。⑤培養細胞から回収・調製した細胞タンパク質試料、血液、臓器由来試料について、ELISAやウエスタンブロッティングを実施し、特定の細胞タンパク質の特異的な検出と定量ができる。⑥データの適切な取り扱い、適切な実験ノートの作成、実験結果・成果のまとめ、成果を魅力的に発表することができる。栄養生理化学実験全体を通して日本や国際社会が直面している食と健康に関する諸問題を発見し、解決策を提案することができるようになることを最終目的とする。
授業方法
Google Classroomを通じて配信される実験書ならびに実験手法を解説した予習動画を視聴し、あらかじめ実験プロトコールを作製して実験に参加する。実験当日は、実験実施前に実験内容に関する簡単な講義を行い、実験を安全に実施する上での注意事項、基礎的な事項について確認する。各回の実験終了後には Google Classroom を用いた理解度チェック、課題研究を行う。また、実験終了後、翌々週の日曜日までにレポートを作成して提出する。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 脂肪酸組成分析について、実験方法とその原理について説明ができ、関連する実験を安全に実施できる。
  • 血液生理、腎臓生理に関する実験方法とその原理について説明することができる。実験プロセスでの事象を注意深く観察し、関連する実験を安全に実施することができる。
  • 培養細胞を用いた研究手法、抗体を用いた実験手法に関する原理を説明することができる。得られた実験データを適切に解析し、解決すべき問題点を認識できる。
授業計画
回数 授業内容
1

オリエンテーション
1)実験遂行上の注意点、2)レポート作製上の留意点、3)各実験項目の原理、基礎知識についての講義

2

脂質に関する実験:動植物組織および食品の脂肪酸組成の分析
1)粗脂質の有機溶媒抽出、2)脂肪酸のメチルエステル化、3)ガスクロマトグラフィー質量分析計による脂肪酸組成の分析、4)脂肪酸組成比の算出、5)食品成分表との比較
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

3

腎臓生理に関する実験(クレアチニンクリアランス)(1)
1)クレアチニン定量用検量線の作成、2)尿中クレアチニンの定量
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

4

腎臓生理に関する実験(クレアチニンクリアランス)(2)
3)クレアチニンクリアランス値の算出、4)正常な範囲と異常値の理由についての考察
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

5

血液・血漿タンパク質の機能に関する実験(1)
1)ウシ血漿中のフィブリノーゲンの定量
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

6

血液・血漿タンパク質の機能に関する実験(2)
2)分析データの解析、3)血液凝固現象に関する考察
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

7

血液・血漿タンパク質の機能に関する実験(3)
1)アフィニティークロマトグラフィーを用いたプラスミノーゲンの精製、2)フィブリノーゲンとトロンビンを用いたモデル血栓(フィブリンプレート)の作製、3)プラスミン活性の測定
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

8

血液・血漿タンパク質の機能に関する実験(4)
4)分析データの解析、5)血液線溶現象に関する考察
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

9

動物細胞の培養実験(1)
1)培地の調製法、2)クリーンベンチでの無菌操作と細胞培養、
実験試料の回収ができる。
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

10

動物細胞の培養実験(2)
3)培養細胞の観察 4)培養細胞への実験試料の添加培養と細胞の回収
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

11

ウエスタンブロッティング(1)
1)動物細胞からのタンパク質抽出とSDS-PAGE試料調製、2)電気泳動、3)メンブレンへの転写、4)ブロッキング、5)抗原抗体反応(一次抗体)
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

12

ウエスタンブロッティング(2)
6)抗原抗体反応(二次抗体)、7)目的タンパク質の化学発光による検出、8)ImageJソフトによるウエスタンブロッティングの画像解析
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

13

ELISA(1)
1)96 well plate への抗体の吸着とマスキング、2)試料の調製と96 well plate へのアプライ
3)一次抗体の反応と洗浄、4)二次抗体の反応と洗浄、5)発色と吸光度測定
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

14

ELISA(2)
6)検量線の作製と披検試料の濃度測定、7)データの解析と考察
海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。

15

試験及び解説・振り返り

到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
脂肪酸組成分析について、実験方法とその原理について説明ができ、関連する実験を安全に実施できる。
白衣、安全メガネの適切な着用、実験台の器具・試薬の配置・整理状況について実地で確認・評価する。課題研究、実験内容の理解度を問う試験(筆記試験・オンライン試験)による評価、実験レポート
血液生理、腎臓生理に関する実験方法とその原理について説明することができる。実験プロセスでの事象を注意深く観察し、関連する実験を安全に実施することができる。
白衣、安全メガネの適切な着用、実験台の器具・試薬の配置・整理状況について実地で確認・評価する。課題研究、実験内容の理解度を問う試験(筆記試験・オンライン試験)による評価、実験レポート
培養細胞を用いた研究手法、抗体を用いた実験手法に関する原理を説明することができる。得られた実験データを適切に解析し、解決すべき問題点を認識できる。
課題研究、実験内容の理解度を問う試験(筆記試験・オンライン試験)による評価、実験レポート
成績評価基準・割合
課題研究(35%)、実験内容の理解度を問う試験(35%)、実験レポート(30%)により総合的に評価する
フィードバックの方法
Google Classroomを用いた小テストは、受講者全員の正解率などを示しながら理解の不足点について解説しフィードバックを行う
教科書
Google Classroomを通じて配信する「栄養生理化学実験テキスト」を使用する
参考書
健康栄養学(小田裕昭、加藤久典、関 泰一郎 編、第2版、共立出版)、理系なら知っておきたいラボノートの書き方 改訂版(岡崎康司、隅藏康一編、羊土社)、誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方:研究を成功させるための秘訣(野島高彦 著、化学同人)、これからレポート・卒論を書く若者のために(酒井聡樹著、共立出版)
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/16
  • 終了期間

    2024/01/27
  • 開始時間

    • 12:10
  • 終了時間

    • 13:00
  • 曜日

  • 場所

    12号館3階

備考

Zoomでの面談も可能。あらかじめ予約を取りことが望ましい。
科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • 1班当たり2人編成とした班単位の実験
  • 情報リテラシー教育を含む授業
  • ImageJソフトを利用した画像解析、パワーポイントを使用したプレゼンテーション
  • ICTを用いた授業
  • Google Classroomを通じた予習実験動画の配信、理解度の確認テストの実施、質疑応答
  • 実務経験のある教員による実践的授業
  • 海外の大学や公的研究機関、日本の公的研究機関での勤務を経た教員が、その経験に基づき実験手法を指導する。
備考