科目ナンバー
02A2102
科目名
生命化学実験法Ⅱ
担当教員名・資格
田代 充【非常勤講師】
単位数
2
配当年次
2年生
必修・選択
必修
開講学期
後期
学科・クラス指定等
学科指定無し
履修条件
化学基礎および化学を履修していることが望ましい。各授業において、演習問題を出すので、復習として演習問題の解法などを十分に理解しておくことが必要である。各授業の最後に次回の講義内容の概略を説明するので予習すること。
授業の概要
本講義では有機化合物の構造決定に必要な分析機器の原理、およびスペクトル解析などの基礎的な知識に関して講義を行う。構造情報が未知の化合物に対して、どのような分析機器を用いて客観的に構造決定を行うか、演習問題を織り交ぜながら講義を進めていく。
学びのキーワード
有機化合物、構造解析、元素分析、赤外分光分析、質量分析、核磁気共鳴分析
授業の目的
本講義は有機化合物の定性・定量・組成・性質・構造決定の基礎的な知識を習得し、未知化合物の構造解析に必要な能力を養成することを目的とする(DP4, 日大教育憲章A-3(3))。具体的な内容として、元素分析、核磁気共鳴分析(NMR)、質量分析(MS)、赤外分光分析(IR)を取り扱い、基礎的な知識を習得する。基礎原理の理解と共に、実践的な側面から、スペクトル解析能力を身につけることも本講義では重視する。スペクトル解析を中心とした演習問題に毎時間取り組むことにより、解析能力が身につくものと期待する。また、未知化合物の物性に関する情報が全くない状況における構造解析の困難さを実感し、どこから手掛かりを得て、客観的に構造解析を進めていくかも学んでいくことを目標とする(DP4, DP9, 日大教育憲章A-3(4))。 先入観を排し論理的、客観的に解析を行うために、各分析機器の特性について理解し、効率的なスペクトル解析法を修得する。
授業方法
前半の元素分析、赤外分光法、質量分析に関しては、講義資料を中心に進め、適宜、演習問題および確認テストを行う。後半の核磁気共鳴スペクトルでは、教科書を中心に進める。重要事項や誤りやすい項目はポイントを詳述する。核磁気共鳴法では、スペクトル解析に慣れるため、演習問題を多く取り入れ、構造解析への理解を深める。
学修を通じて育成する力(DPとCPとの対応関係)
DP・CP1

知識・教養・倫理観

DP・CP2

世界情勢の理解

DP・CP3

論理的・批判的思考力

DP・CP4

問題発見・解決力

DP・CP5

挑戦力

DP・CP6

コミュニケーション

DP・CP7

リーダーシップ・協働力

DP・CP8

省察力

到達目標
  • 1. 低分子化合物の構造解析に必要な機器分析の基礎知識を習得する。特に、化学分野で汎用される分析手法に焦点をあて、分析機器の特性を理解する。(DP2)
  • 2. 元素分析、赤外吸収、質量分析、核磁気共鳴など各分析機器の原理、およびサンプル調製方法を理解し、実際に測定を行う際の注意点にも留意できるようにする。研究室配属後の研究活動を踏まえ、大型分析機器にダメージを与えることなく、効率的に実験を遂行する能力を身につける。(DP2)
  • 3. 1,2を基に客観的にスペクトル解析を進め、確実に部分構造を得た後に全体構造に繋げる解析能力を修得できる(DP4, 日大教育憲章A-3(3), A-4(3))。
授業計画
回数 授業内容 授業時間外学習
(準備学習・復習)の内容
時間外学習時間数の目安(分)
1

(1)正確さ・精度および誤差について:分析化学の基礎を復習すると共に、有機機器分析の当学科の学問分野における重要性と位置づけを概説する。

(2)元素分析:有機化合物の組成分析法のひとつとして、元素分析を概説する。

1年時での「化学」の内容を復習。

200分
2

赤外分光分析(IR):有機化合物の構造解析のための分子スペクトル分析法のひとつとして、IR の原理を概説する。

元素分析について理解し、演習問題を復習する。

220分
3

赤外分光分析(IR):実際のIR
スペクトルを用いて構造解析演習を行う。

赤外線について理解し、原子間結合と赤外線吸収の関連性を理解する。

220分
4

(1)これまでの内容の振り返り
持ち込み可:電卓

(2)解説

振動パターンの原理を理解する。

220分
5

質量分析(MS):有機化合物の構造解析のための分子スペクトル分析法のひとつとして、MS の原理を概説する。

精密質量、相対質量、代表同位体などの意味を理解する。

230分
6

質量分析(MS):実際のMS スペクトルを用いて構造解析演習を行う。

各スペクトルから得られる情報を整理して、解析を進める。演習問題を復習する。

230分
7

(1)これまでの分析機器の振り返り
持ち込み可:電卓

(2)解説

各スペクトルの特徴を理解し、確定している部分構造を基に、構造解析を進める。

260分
8

核磁気共鳴分析(NMR): 有機化合物の構造解析のための分子スペクトル分析法のひとつとして、NMR の基本原理(観測核種、核磁気モーメント、ゼーマン分裂)を概説する。

共鳴と緩和の原理を理解する。

260分
9

核磁気共鳴分析(NMR):有機化合物の構造解析のための分子スペクトル分析法のひとつとして、NMR の基本原理(遷移現象、原子核の運動と周波数、緩和)を概説する。

自由誘導減衰(FID)信号が形成される過程を理解し、FT-NMRの原理を理解する。

260分
10

(1)これまでの内容の振り返り
持ち込み可:電卓、指定教科書

(2)解説

授業に行われた演習問題を復習する。

260分
11

核磁気共鳴分析(NMR):NMR を用いた構造解析で必要な基礎的な知識(スピン-スピン結合と結合定数、化学的等価性と磁気的等価性)を学習する。

1H-NMRスペクトルより得られる情報を整理し、(n+1)則に基づき解析を行う。

240分
12

核磁気共鳴分析(NMR):実際の1H NMR スペクトルを用いて構造解析演習を行う。

各原子団に特徴的な化学シフトに着目し、隣接原子団の推測を行う。

250分
13

核磁気共鳴分析(NMR):13C NMR スペクトルを用いて構造解析演習を行う。1H NMRスペクトルとの相違点、特徴について理解する。

各NMRスペクトルより得られる情報を整理して、構造解析を行う。

250分
14

(1)演習問題による理解度の確認:1H,13C NMRスペクトルから有機化合物の構造決定を行う。

(2)解説

複数の候補となる構造式から、どのように解析を更に進めかを学ぶ。

250分
15

これまでの学習内容の振り返り。
持ち込み可:電卓、指定教科書

これまでの授業で行われた演習問題を復習する。

250分
到達目標と成績評価方法の対応
到達目標(再掲) 成績評価方法
1. 低分子化合物の構造解析に必要な機器分析の基礎知識を習得する。特に、化学分野で汎用される分析手法に焦点をあて、分析機器の特性を理解する。(DP2)
演習問題・筆記試験で理解度を確認する。
2. 元素分析、赤外吸収、質量分析、核磁気共鳴など各分析機器の原理、およびサンプル調製方法を理解し、実際に測定を行う際の注意点にも留意できるようにする。研究室配属後の研究活動を踏まえ、大型分析機器にダメージを与えることなく、効率的に実験を遂行する能力を身につける。(DP2)
演習問題・筆記試験で理解度を確認する。
3. 1,2を基に客観的にスペクトル解析を進め、確実に部分構造を得た後に全体構造に繋げる解析能力を修得できる(DP4, 日大教育憲章A-3(3), A-4(3))。
筆記試験で理解度を確認する。
成績評価基準・割合
授業内容の理解度を問う合計4回の確認テスト(各25%)から総合的に判断する。
フィードバックの方法
演習問題、試験実施後に解説を行う。多く見られた誤答についても説明する。
教科書
「分析化学実技シリーズ 機器分析編・3 NMR」共立出版・・後半の核磁気共鳴スペクトルでが教科書を基に説明を行うので準備しておくこと。
参考書
オフィスアワー
  • 開始期間

    2023/09/11
  • 終了期間

    2024/01/29
  • 開始時間

    • 14:15
  • 終了時間

    • 16:15
  • 曜日

  • 場所

    講師室

備考

授業前後の講義室、講師室、またはメール(tashiro@chem.meisei-u.ac.jp)による対応。
科目の特徴
  • アクティブ・ラーニングを用いた授業
  • 多くの授業において理解度を確認するため演習問題を行う。
備考
教科書:分析化学実技シリーズ機器分析編・3 NMR(共立出版)・・核磁気共鳴スペクトルの授業で使用する
履修条件:特になし